久しぶりに、みけぶろぐを更新します。
この記事では、2024年みけの活動をどのようなものにしていきたいかを思うままに書き綴っていきたいと思います。
その前に、みけの活動と心の動きを少し振り返ってみようと思います。
振り返り
2020年に渡米の時点でみけぶろぐを立ち上げ、米国で働くことに興味がある獣医師や学生さんに向けて、アメリカでポジションを獲得する方法やマッチングの情報を中心に発信していました。これは、(獣医師として)渡米するための情報が限られており、自分の実体験が少しでも他の先生のお役に立てればという気持ちで始めたものです。
2020年からレジデントのポジションが決まる2022年までは、どうアメリカで生き抜くか、専門医になるための道を切り開くかということに必死でした。自分も相当必死だったことから、同じように苦労されている先生方に少しでも有益な情報を発信するためにみけぶろぐを活用してほしいと考えていました。
様々な方の支えのお陰で、2022年にレジデントのポジションを獲得することができ、3年間の研修医生活を終えて専門医試験に合格すれば、「米国救急集中治療専門医」の称号がもらえるところまで到達することができました。
私が米国に来た理由は、救急集中治療をもっと学んで、多くの動物の命を救えるようになりたいというもので、それは今も昔も変わっていません。気がつけばレジンデント生活が始まる頃には、すでにアメリカ生活も3年目、3つ目の大学病院で勤めることになっていました。様々な経験を経て、自分が今何をするべきか、専門医になったら何がしたいのか、気持ちが紆余曲折しました。
自分が最先端を走り続け、患者さんを自分の手で助けることがベストなのだろうか。もしくは、臨床研究などで新しい治療法に目を向けるべきなのだろうか。または日本と米国の間に潜むギャップに目を向け、米国で学んだことを日本に還元していくべきなのだろうか。
選択肢がたくさんある中、今の自分にできて、最も効率よく成果につながるものが何かを考えました。
そこで2023年、私が行き着いた答えは、動物看護師さんの育成でした。私が米国で最も大きく影響を受けたことの一つとして、米国での動物看護師と獣医師の分業がありました。
要するに、看護師は看護師の仕事を行い、獣医師は獣医師にしかできない仕事に専念できるのです。看護師の仕事とは、動物の処置に関わること大半です。静脈留置の確保、投薬、点滴、TPRのモニター、尿カテーテルの設置、など動物に触れて行うことの大半は看護師の仕事です。獣医師にしかできない仕事とは、医学的な決断(治療方針の決定や飼い主と話すなど)やカルテの作成などです。
この分業がしっかりと機能していることで、動物看護師の地位は上がり、働くやりがいも生まれ、病院の雰囲気も良くなる。獣医師は患者のために最新の情報を収集したり、勉強に時間を使うことができる。
特に救急や集中治療では、看護師さんの発揮する威力は大きく、能力の高い看護師さんがいるだけで診察効率は格段に上がることを実感したのです。
2023年は日本で動物看護師が国家資格化され、業務内容が変化した年でした。動物看護師さんの育成によって、診察効率が向上するだけでなく、医療の質が病院全体で向上することが期待されると思いました。
このことから、みけの活動のターゲットを日本の動物看護師さんとし、自分の米国の経験を活かして救急や集中治療で活躍できる看護師さんを増やすために情報発信をしようと決めました。
2023年の活動
2023年2月、日本のベテラン動物看護師さんと勉強会がスタートさせました。もうすぐ1年が経ちますが、2-3週間に1度の頻度で定期的に勉強会を行うことができています。現在までに15回の勉強会を行いましたが、2024年の1月現在、4人のベテラン看護師さん方に症例発表をしてもらい、症例検討会を行なっています。
2023年の4月にインスタグラム(eccvet_mike)を設立しました。動物看護師さんのための学習系インスタグラムとして、写真とイラストを駆使したわかりやすい投稿を心がけるようにしています。慣れないSNSを駆使しながら、現在1100人ものフォロワーさんに投稿を見ていただいています。
2023年9月からは、「動物看護月刊誌」の連載を執筆させていただくことが決まりました。米国の動物看護師さんの働き方や、獣医師との分業に関する内容をメインにお話しさせていただいています。
2024年の抱負
2023年はこのように、手探りではありますが、「動物看護師への教育」に目を向けながらみけの活動を続けてきました。さて、ここからようやく2024年の抱負の話です。
みけは、動物看護師も獣医師と同じレベルの知識を持ち、同じ言語を話すべきだと考えています。業務内容は職業によって異なりますが、動物を扱うために必要な最低限の知識や経験は職種によって異なる必要はないと思うのです。
その最低限の知識ってなんなのでしょう?
学校で教わることができるのでしょうか?教科書を読めば学ぶことができるのでしょうか?セミナーに行けば学べるのでしょうか?
おそらく、答えはノーで、生理学や病態学、解剖学の知識を臨床現場で活かすトレーニングが必要だと考えます。数時間の授業やセミナーの聴講で身につくものではないと考えます。
そこで2024年、みけコミュニティを立ち上げることに決定しました。「わかったつもり」になれる勉強方法ではなく、1年間かけて基礎講座のカリキュラム、症例検討会による基礎知識の実症例へ応用するトレーニングを行う「みけ勉強会」です。「基礎からしっかり学ぶ」ことがコンセプトです。
しっかり勉強したい、本気の動物看護師さんと一緒にコミュニティを作り上げていきたいと考えています。
2024年で基礎をしっかりと身につけていただいた看護師さんには、2025年にさらなる応用編の勉強会をご用意するつもりです。
みけの意気込み
繰り返しになりますが、私は、動物看護師も獣医師と同じレベルの知識を持ち、同じ言語を話すべきだと考えています。業務内容は職業によって異なりますが、動物の命を扱うためには、病院チームが結束して、同じ認識の上で治療にあたるべきだと考えています。
日本の動物看護師さんの成長のお手伝いをするために、みけの活動を大きく動かしていくことが今年の目標です。動物看護師がどこまで「知っておくべきか」線引きが曖昧な中、皆さんがもっと楽しく、獣医師ともチームワークを発揮して働けるようにお手伝いしたいと考えています。
2024年もみけの活動をよろしくお願いします。