この記事の内容
- Personal statementとは
- 完成までの所要時間
- 形式、長さ
- 構成
- 内容
- 校正
- 注意点
- まとめ
著者は、日本の獣医大学を卒業後、一般病院で3年間勤務した後、現在アメリカの大学で獣医研修医をしています。マッチングを2回経験し、今年3回目のマッチングに応募します。
この記事では、Personal statementを書いたことがない人、どのように書けばいいかわからない人に対してPersonal statementの意義や、読み手が何をスクリーニングしているか、目に止まるようなPersonal statementとはどんなものか、私なりに考えたことを紹介していきたいと思います。
Personal statementとは
Personal statementとはなんなのでしょうか?
VIRMPの公式サイトにこのような記載があります。
Personal statementとは、マッチングの申し込みに必須の提出書類になります。簡単にいうと、自分はどうしてこのポジションに申し込んでいるのか、自分のバックグラウンドがどのようなものか、自分と他の候補者の違いなどをエッセイ形式でアピールする場になります。
CVでは、経歴を主にアピールできますが、Personal statementでは、しっかりとした経歴として残らないことでも、例えばwork ethics(仕事への倫理感)や、コミュニケーション能力や、自分の得意分野などを書くことで大学側へ自分のユニークさを伝えることができます。
ウィキペディア:入学または申請エッセイは、個人的なステートメントまたは目的のステートメントとも呼ばれ、申請者、多くの場合、大学、大学院、または大学院に出願する予定の学生によって書かれたエッセイまたはその他の書面によるステートメントです。申請エッセイは、大学およびカレッジの入学プロセスの共通部分です。
私は、2年前のマッチングの時期に、書いたこともない、みたこともないPersonal statementを日本で、インターネットで調べながら自分なりに作成しました。ある程度時間をかけて作成しましたが、アメリカで働く友人にみてもらったところ、ほぼ全てやり直すことになりました。何を書けばいいかすらよくわかっていなかったものですから、非常に苦労しました。
特に初めての方は、アメリカで働いている経験がある人に必ずみてもらう、アドバイスをもらうことが一番重要だと思っています。私はその友人のおかげで、読んでもらえるかもわからないような無様なpersonal statementを提出せずに済みました。
完成までの所要時間
Personal statementを書いたことがない場合は、数時間で完成できるようなものではないということを理解しておく必要があります。私はマッチングの締め切りの2ヶ月前くらいから取り掛かり、1ヶ月間温め、ベストだと思うものをとりあえず作り、文章の校正に提出し、1ヶ月前あたりにfacultyに内容をチェックしてもらい、残りの数週間で編集、最後に校正をもう一度加え変更をfacultyに確認してもらい提出に至りました。
2ヶ月あればだいぶ余裕を持っていいものを仕上げることができます。
人によってどれだけ時間をかけるかは違ってくると思いますが、私は本当にいいものにしたいという気持ちから、早く取り掛かるようにしています。できてしまえば、毎日やらなきゃ、、、というストレスがなくなり、マッチング締め切り前でも余裕が生まれます。
形式・長さ
これといってVIRMPから形式や長さの指定はありません。常識的に、A4 1-2枚に収まるようにすることと、PDFのファイルで提出する必要があります。
インターネットで調べても、大体500-800字という文字数が出てくるので、あまり短すぎず、長すぎずの方がいいようです。
読み手も、大量の候補者のPersonal statementを読まなければいけないわけですから、ダラダラ長かったり要点がまとまっていないようなものは読んでももらえない可能性があるので注意です。
これは今年初めてfacultyから指摘されましたが、CVと同様、あなたの情報(名前、電話番号、メールアドレス、住所)を最初のタイトルの部分に大きく書くべきだと勧められました。確かに、候補者がたくさんいる中、誰のstatementかわからなくなる可能性は十分あるので、そこらへんの考慮は重要かなと思いました。
構成
構成に関しては、私は以下の点を含めるようにしました。これは友達やfacultyからのアドバイスをもとに、私が、最終的にこれらの内容が必須だなと思った点です。
- 自分のゴール(専門医になってから何がしたいのか)
- なぜ専門医になりたいのか、レジデントのポジションが欲しいのか
- なぜ日本からわざわざアメリカで勉強したいのか
- 自分の強み、ユニークさ、経験、成長
- 自分がレジデントになった時、どんな点で大学に貢献できるか
- 大学は自分をとることでどんなメリットがあるか
そして、構成のポイントとしては、コマ目にパラグラフを分ける。アイエルツなどの試験の筆記などでもパラグラフの使い方は散々勉強させられましたが、1つのパラグラフに1つのテーマを設けるべきです。
例えば、上記の内容にするのであれば私であれば4-5このパラグラフにして「このパラグラフでは何を伝えたい」ということを明確にさせます。
そのため、作り始めの段階で、日本語でいいので上記のようなフローを先に作ることをお勧めします。その下に、箇条書きで含めたい内容をブレインストーミングしていきます。いきなり英語でつらつら書き始めるのは得策ではないと思います。
内容
私は、何度かfacultyにpersonal statementを見てもらって、内容に関する以下のアドバイスをもらいました。
statementが謙虚すぎる、この書き方だと自信がないのかと思われる、あなたが専門医になる過程でこんなことを成長したいという点は大いに伝わるけど、大学が求めているのは謙虚さや成長の約束ではなく、現時点であなたが何ができるか、なぜあなたがこの大学で学ぶに値するかをみている。
アメリカ人に謙虚さは必要ない。強いバックグラウンドがあるんだったら、それを大いにひけらかすように自信を持ったstatementにするべき。
確かに、インターネットの例文などを見るとみんな自信満々なことを思い出しました。こんなに自信満々なのにレジデントする必要あるのかっていうくらい大げさに自分の能力をアピールしている例が多かったのです。
校正
毎年、最低2回は校正に出しています。これは、アメリカで獣医として働く友達から教わったストラテジーです。文法がアウト、読みにくい文は、本当に読んでもらえないと思います。自分がもし採用者であった場合、完結で読みやすくて、心に響く内容を採用します。何を言っているのかわからない、そもそも文法がはちゃめちゃ、という文章は「もう知らん!」と思って読まないと思います。
校正なんて出したことないという友達も結構多いのですが、私は絶対に出すことをお勧めします。
校正にかかる費用は大体15-30ドルくらい(500-800字)です。12時間、24時間、48時間などと仕上がりのスピードによって値段は異なります。
私が友達から教わって利用しているのはケンブリッジです。すっごくかっこよくなって返ってきます。自分じゃ到底思いつかない英語の表現になって返ってくるので、大満足です。
私は自分の大学の先生などにアドバイスをもらうために提出する前に一度校正をかけます。カッコよく仕上がったものをfacultyに見せ、アドバイスをもらいます。
自分が現在所属している大学もレジデントのポジションがあります。もちろんこの大学のレジデントにも応募するつもりです。私が思うに、先生方はすでにここから自分の評価を始めているのです。この時点でしょうもないものを提出してしまうと、自分の評価に影響が出る可能性があります。
逆に、もしこの時点でfacultyが感心する文章をかけた場合、あなたはstrongなwork ethicsがある、とプラスの評価に繋がります。
注意点
- 長さ、読みやすさ、文法
- ネガティブなことを書かない
- 自信のなさを表さない
- 誰かに確認してもらう
注意点としては、できるだけ読みやすい文にすること。何度も繰り返しますが、読みにくかったら多分読んでもらえません。文法のミスなどは校正でカバーすることができると思いますが、構成に関してはどうにもならないので、時間をかけて構成を作り、肉付けしていくようにしましょう。
表現は校正でいくらでもかっこよく仕上げてもらえるので、表現にこだわって時間を使ってしまう必要はありません。
アメリカ人はネガティブさに敏感です。以前の職場で—だったので、今度は違う環境にいきたい、などのネガティブな内容はNGです。また、自信のなさと謙虚さは紙一重なので、できないことは書かないことをお勧めします。
最後に、ネイティブや関係者の人に必ず確認してもらうことをお勧めします。3回目のpersonal statmentの作成でしたが、いまだに学ぶことはたくさんありました。なので恥ずかしい気持ちもあるかもしれませんが、思い切って「見てください」とお願いしてみましょう。
まとめ
Personal statementについて解説しました。私は毎年、Personal statementの作成に何時間かけているかわからないくらい時間を費やしています。どれだけ本気で取り掛かるかは、人それぞれだなと感じていますが、外国人である私からしたら、チャンスを最大限にするためならこんな努力は可愛いものです。
あとは一緒にマッチに出す友達と、進行具合を報告し合うとなんとなく楽しくなるのでお勧めです。