こんな悩みを解消
- アメリカでペットの健康保険に入るべきか知りたい
- ペットが病気になった時、治療費はいくらくらい?
- 費用はどうやって支払う?
私は、日本の獣医大学を卒業後、一般病院で3年間勤務した後、現在アメリカの大学で獣医研修医をしています。ペットと一緒にアメリカに移住して来られた方のこんな悩みを解決します。今回のテーマは、ペットの治療費について、大学病院の費用を中心にお話ししていきます。
[read_more id=”1″ more=”Read more” less=”Read le
本記事の内容
- 獣医大学病院と一般の動物病院との費用の違い
- アメリカの獣医療にかかる費用
- 獣医大学病院の支払いについて
- 一時的に支払い能力がない場合(Carecreditについて)
- アメリカでのペットの健康保険について
- まとめ
獣医大学病院と一般動物病院との費用の違い
- 地域のホームドクターよりも大学動物病院の方が高い
- ホームドクターができることは基本的に予防+α
- 大学の動物病院には専門医がいて、人医療と似たシステム
大学病院は、teaching hospitalなので一般の専門医がいる病院よりも安いと思われて来院される方が多いです。しかし、それは間違いで、エマージェンシーや専門診療科の診察は、一般病院より、はるかに高くなります。
なぜ高くなってしまうのかというと、専門医がいることがその要因として挙げられます。診療科にもよりますが、大学病院が専門医を1人を雇うのに、年間で2000-4000万円くらいの人件費がかかります。そんな専門医が大学病院には何十人もいるのです。そしてMRIやCTなどの高度医療設備にも維持費がかかります。
そのため、大学病院の専門診察は、一般動物病院よりも高額になってしまうのです。
アメリカの獣医療にかかる費用
- 予防や健康診断は日本の病院と同じくらい
- ペットが病気になった時の医療費は、日本よりもはるかに高い
- 大学病院は、一般動物病院より高い
- 唯一CPは、大学病院も一般動物病院も同じくらい
- ペット保険は、超おすすめ!
予防や健康診断にかかる費用は日本の病院と同じくらいです。ワクチンに関してはアメリカの方が安いです。狂犬病、混合ワクチンは1年でそれぞれ20ドルもかかりません。(診察料は、別です。)
基本的に日本での動物治療に関する費用は、破格です。アメリカの大学病院では、日本の獣医療の2-3倍以上はかかってしまうかと思います。
そのため、先に結論をいうと、保険に入ることを強くおすすめします。
私の大学病院の相場としては、
- エマージェンシー診察料 +初期安定化(痛み止めや鎮静薬):300ドル
- 血液検査 :150ドル
- レントゲン(1カ所):100ドル
- 腹部超音波 :300ドル
- 1泊点滴入院 :200ドル(翌日の朝に2泊目の費用が発生)
- 他の科の診察料 :100-150ドル
- 内科で複雑な病気を内視鏡やCTを使って診断した場合:2000-3500ドル
- 腸管内異物などの緊急手術:4000-6000ドル
- MRIの撮影 :2500-3500ドル
- 椎間板ヘルニアの手術:5000-6000ドル
※あくまで参考価格になります
これは、大学動物病院の価格で、一般病院よりも高いです。
専門医による最善の治療を受けたい場合は、大学病院に行かれるのがおすすめです。
大学病院の費用が高いため、安定化や診断までして、かかりつけで手術、というパターンもあります。おそらくですが、消化管内異物の手術であれば、2000-2500ドルくらいです。(地域にも動物病院にもよるのであくまで目安です)
ちなみにですが、全員がこのような高額の医療費を払えるわけではないので、残念ながらアメリカでは治せる病気でも安楽死になってしまうことが少なくありません。
このような万が一の時に備えて、みなさんペットの保険に入ることをおすすめします。
獣医大学病院での支払いについて
- 問診、身体検査
- 見積もり、相談、プランの決定
- 内金(入院する場合)支払い
- 治療スタート
- 後日残金の支払い
ドクターが身体検査をして、先に見積もり(estimate)を作ります。見積もりには、検査や治療薬などの費用が含まれますが、この通りにやらなければいけないわけではないので、ドクターと相談することができます。
正直に費用制限があることなどを伝えると、配慮したプランを提案してくれます。
例えばですが、一般診療科では7歳以上の健康な猫の予防では必ず、血液検査、甲状腺ホルモンの検査、尿検査、便検査などが勧められます。早期に腎不全を検出したりできるのと、ベースラインを知ることができるためです。必ずしないとペットの健康を害するわけでもないので、そんなに払えない、ということを伝えると、じゃあ今日はワクチンだけにしておきましょうか。ということになります。
プランに同意が得られた場合は、早速診察、検査、投薬などが進んでいきます。途中で予想していなかったものが見つかって、新たな検査が必要になった場合は、必ずこの検査を追加して良いですか?という確認の連絡がきます。
無事、診察を終えたら支払いになります。コロナの関係もあり、今は全て電話/駐車場でのやり取りです。電話でクレジットカードナンバーを伝える、また、チェック、もしくはキャッシュでの支払いも可能です。
ペットが万が一、入院が必要になった場合、Deposit(内金)を必ず納める必要があります。
内金は見積もり最高額の半分、となっているのでそれを納めることでペットの治療が次のステップに進むことができます。内金が確認されなければ、たとえMRIや手術の予約が入っていたとしても、先に進めません。
後日全てお会計が整ったら電話もしくはメールでの請求が来て、残りの金額を支払うことになります。
一時的に支払い能力がない場合(CareCreditについて)
CareCredit
- 利子のない借金
- 内金が払えない時に使える利子のないクレジットカード
- 支払い期限までに返済することで無利子になる
- クレジットスコアなどで上限額は異なる
Care Creditというヘルスケア用のクレジットカードを発行することが可能です。これは、人医療で高額な医療を受けるための内金を支払うための助けになるものです。
例えば、ベットが消化管異物によって緊急的な手術が必要になり、見積もりが4000-6000ドルだったとします。この場合、手術に進むためには3000ドルの内金を支払の確認が取れないと手術ができません。クレジットカードが切れない場合、口座にも手持ちの3000ドルが入っていない場合にこのCareCreditが活躍します。
Care Creditは、利子のない借金のようなもので、支払い期限までに返済ができれば医療費に要した分だけが必要になります。クレジットスコアなどによっては、Care Creditがいくらおりるか、(もしくはおりないか)は変わってきます。
よって、Care Creditに申し込み、最大いくら貸りられるを確認したうえで3000ドル切れるようであれば手術が行えます。
アメリカで働いていると、医療費が出せないというオーナーさんに出会うことは少なくありません。そのような時には、このカードを提案して、同意をいただけたら内金を納めていただき、治療を再開していきます。
ペットの健康保険について
獣医療現場に携わっているスタッフとして、とても悲しいことですが、私は、こう言った場面に何度も遭遇し、残念ながら費用がない、手術なしでは助からない、Care Creditもおりない、といったことからペットを安楽死しなければならなくなってしまったことを何度も経験しました。
このようなことを避けるためにも、ペットの健康保険をお勧めしたいと思います。
いつ病気になってしまうかなんてわからないからです。
今回は、アメリカでメジャーなペット保険2つをご紹介します。
Community Practiceの先生もこの二つが今主流だとおっしゃっていました。
- ASPCA
- Nationwide
この二つの違いがのった表などがネット上にはたくさんありますので、そちらもご参考にしてください。
ここでは、大きな違いをまとめてみました。
詳細な値段は見積もりを取ってみることをおすすめします。
- Nationwideは予防もカバーされるプランあり
- 同居犬の割引
- Nationwide: 2-3頭で5%、4頭以上で10%割引
- ASPCA: 1頭につき10%割引
- 年齢によるリミット
- Nationwide: なし
- ASPCA: 10歳でメジャーな病気のカバーがなくなる
- 既存の病気によるリミット
- Nationwide: あり
- ASPCA: なし
また、私が実際にASPCAに入ったという学生にお話を聞いたところ、『Nationwideは、整形外科の病気が適応にならないからASPCAにした』とも言っていました。
ペット保険の仕組みは、日本と似ていると思いますが、既往歴がある場合はその病気は保険の適応外になります。また、年齢が若く、健康なほど保険料が安いシステムも同じようです。
まとめ
- アメリカの獣医さんの中でも、大学病院は高い
- 日本と比べるとアメリカの動物の治療費は2-3倍以上
- 大きな治療が必要な場合は内金を納める必要がある
- 内金を一時的に支払えない場合はCare Creditに申し込める
- 費用が足りずに家族であるペットを救えない状況を回避するためにも、ペット保険をおすすめします
[/read_more]