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アメリカで働く

アメリカの獣医大学に入学する方法

はじめに

著者は、日本の獣医大学を卒業後、一般病院で3年間勤務した後、現在アメリカの大学で獣医救急集中治療(ECC)専門医になるためのレジデントをしています。

この記事では、獣医学生になるまでに必要なプロセス、およびストラテジーについてご紹介します。実際に私は経験していませんが、現役獣医学生にきいた情報になります!

アメリカ獣医学校に応募するまのプロセス

高校卒業から獣医大学入学までの大きく2種類の道筋

  1. 高校–> community college 2年間 –> under graduate school 2年間 –> 獣医大学4年間
  2. 高校–> under graduate school 4年間 –> 獣医大学 4年間

    獣医大学に入学までは、まれにストレートで入れる優秀な学生もいれば、社会人になって経験を積んた上で獣医学部の受験をする人もいます。後者が一般的と言われています。

    高校 –> Community college(2年制)

    獣医学部を目指す学生は、高校の時に進路を決めます。

    • 2年制の公立大学
    • 学費が安い(50-100万円/年間)
    • 入学者の選抜はなく、全入制

    「安くて」「だれでも入れる」コミュニティカレッジは、経済的・学力的な理由でunder grad schoolに行けない人の受け皿となっています。

    私の友人は日本の高校卒業後、コミュニティカレッジを経てunder grad school, 獣医学部へ入学しました。

    Community collage –> under graduate school (2年間)

    • Community collage卒業後はunder graduate schoolの3年生として編入可能
    • Community collageの成績が、under graduate schoolへの編入基準になる
    • いい成績を修めれば、奨学金を得て名門大学に進学することも可能

    高校 –> under graduate school (4年制)

    • 高校の成績とSATもしくはACT(アメリカの全国テスト)スコアのみ
    • 学校別の試験はない
    • SATもしくはACTによって、スカラーシップに申し込める

    Under graduate school

    • 基本4年制(community collegeからの編入では2年間)
    • 獣医大学へ行くには、受験で必須科目が含まれる学科を選択する
    • 獣医大学並みの学費がかかる
      • 州立が年間24,000ドル、私立が32,000ドル
      • レベルの高い大学ほど学費も高く、州立のUCLAが35,000ドル、私立のハーバードは45,000ドル
      • 成績をトップレベルにすることで奨学金を狙える
    • 獣医大学に応募するには、100時間以上の動物に関わる経験(小動物の病院での研修)が必須

    アメリカ獣医学校への入学に必要なもの

    以下のものが評価対象となり、これらの総合評価によって、大学への合否が決まります。

    1. GRE(Graduate Record Examination)
    2. transcript (成績表)
    3. work experience (臨床経験)
    4. Interview (面接)
    5. CV (レジュメ、履歴書)
    6. Recommendation letter (推薦状)
    7. application (申し込み)

    GRE(Graduate Record Examination)とは、アメリカやカナダの大学院へ進学するのに必要な共通試験。センター試験のようなものですね。各々の大学で入試試験が個別にあるところもありますが、基本はこのGREのスコアのみで評価されます。

    work experienceとは、動物病院で働いた経験のことです。私の友達が受験した時は100時間が最低だったと言っていましたが、この時間も近年長くなったと聞きました。

    大学には、student workerと言って、under graduationの学生が休みの期間を利用して大学のクリニックで働いていることがあります。お給料ももらえて、実際の大学を見ながら勉強できるのでいいポジションですね。各科によって採用基準がバラバラと聞きましたが、競争率は高いようです。

    under gradの学生が働いていることもあれば、under gradを卒業してストレートで獣医学生になれなかった場合、看護師としてフルで働いて経験を積むことも珍しくはありません。大体2-3年経験を積んで獣医学生になれる場合が多いようです。

    アメリカでは浪人という概念がなく、仕事をやめてから受験し直す、というのも当たり前の文化です。よって、私の働く大学ではいろんな歳の学生がいました。

    Recommendation letterは、推薦状のことです。学校の先生、獣医さん、ボス、からの3枚必要です。受験者が、どんな学生、スタッフだったかということを記したものになります。書く側は、自分の信頼も落としたくないので、なるべく正直にかきます。

    まとめ

    私が驚いたのは、筆記試験がGREを除き一切ないと言うことです。日本の受験とは真逆のスタイルの様です。

    これらの長い学生生活を経て、獣医学部最終学年である4年生になると、病院実習が始まります。どんなトレーニングを受けることができるか、以下の記事にまとめたので是非ご覧ください。

    アメリカ獣医大学 4年生のトレーニングとその学ぶ環境 はじめに 著者は、日本の獣医大学を卒業後、一般病院で3年間勤務した後、現在アメリカの大学で獣医救急集中治療(ECC)専門医になる...
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