獣医師/アメリカ救急集中治療レジデント
みけ
日本の獣医大学卒業後、一般病院に3年間勤務。
その後、救急集中治療に魅了されて渡米。
Emergency and Critical Care specialty internとして米国獣医大学に2年間勤務。現在、Emergency and Critical Care(ECC) residentとして米国獣医大学で勤務しています。
計3回のマッチングを経験。3度目の正直でレジデントのポジションにマッチングすることができました。
下記、添付写真がその証明になります。
この記事では、私が米国 救急集中治療専門医になりたいと思ったきっかけと、現在のブログへのモチベーションをつぶやきたいと思います。
獣医大学では基礎系の研究室に所属しており、卒業後日本の一般病院で働き始めたときは右も左もわからぬ状態でした。
先輩獣医さんたちはモチベーションの塊。院長を含め、病院全体が向上心でギラギラしていました。(それがこの病院で働きたいと思ったきっかけでした)同期も謎に超優秀。私も学生時代、それなりに真面目に勉強してきたはずでしたが、働き始めて自分の無知と経験不足が身に染みました。
謎のモチベーションは人一倍あったので、とにかく勉強しようと思いました。しかし何をどう勉強したらいいのかさっぱりわからず、夜遅くまで病院で雑誌を読み漁るものの、明日からの診察にどう役立てればいいのかもわからず、努力とモチベーションが空回りしていました。
年月を重ねるごとに、日々の診察に慣れてはくるものの、背負う責任も大きくなり、重症患者さんを担当する機会が増えました。患者さんが重症な状態になるほど、自分の出した答えに自信が持てなくなり、不安を抱えながら行った治療がうまくいかなかった時に、本当にこれがベストだったのか?もっと経験があれば助けられたのか?と自分を責め、夢の仕事だったはずが、毎日不安とストレスで押しつぶされそうでした。
どうしたら、この不安がなくなるのだろう。
誰が答えを持っていて、私を正しい方向に導いてくれるのだろう。
どんなトレーニングをしたら自分の治療に自信を持てるのだろう。
そんなことを毎日なんとなーく思っていた時に、米国救急集中治療専門医の上田悠先生の院内セミナーが行われました(なんとも贅沢な院内セミナーですね)。セミナー内容自体も素晴らしく、今まで誰も教えてくれなかったことがほんの数時間に盛り込まれ、目から鱗だったことを今でも忘れられないのですが、このセミナーを通して、アメリカの専門医教育制度には救急集中治療科があり、この分野だけを集中して学ぶことができるということを知ったのです。
救急集中治療専門医=死にそうな患者さんを助けるプロ
という、なんともかっこいい響きに魅了されたところもありましたが、「アメリカで救急集中治療のトレーニング受けたい!専門医と呼ばれる人に教わりたい!そして自分も専門医になりたい!」と思ったのです。
英語に自信があったわけでもなく、『ちゃんと救急医療を学びたい!』という熱い想いと強い意志が私を行動させてくれました。
意志が固まってから、お世話になった動物病院を退職し、英語の勉強に励み、チャンスがあれば、米国の先生に自分の熱意をぶつけていきました。色んな出会いがあり、たくさんの方々に助けられ、こうしてレジデントのポジションにつなげることができました。
アメリカで働き始めて数年が経ちますが、アメリカと日本の大きなギャップを今でも痛感します。そしてアメリカにはアメリカの、日本には日本の素晴らしいところがあるように感じます。
このブログでは、アメリカで私が学んできた、アメリカの良いところを共有していきたいと思っています。特にアメリカの教育制度は、学生やインターンが基礎を固めるという意味で、素晴らしい環境が整っています。
自分自身、まだまだ、知らないことがたくさんあります。教科書を読んで、そうだったのか!と思うことも多いです。学生が挙げた鑑別診断から学ぶこともあります。日本にいた頃は、何年も獣医師をしているのに、こんなことも知らないのかと怒られるんじゃないかと思い(怒るような先生はいませんでしたが、なんとなく恥ずかしかったので)、知っている振りをしてきたことは何度もあります。
アメリカで獣医師として働く中、『今更遅い、今更聞けない』という気持ちが一切なくなり、『今更でもいいからとにかく学び続けること』の重要さを確信したのです。かっこ悪くてもいいので、成長すること、そして患者さんを助けてあげられることが一番大事。
こんな気持ちから『みけぶろぐ』では、私が米国で学びながら、そうだったのか!と思わずみんなに教えたくなる様な情報をたくさん載せていきたいと思っています。
大学で勉強しているとき、いつ使うの?と一度は誰しもが思ったはずの生理学と患者さんを助けるために必要な臨床現場で役立つ知識を結びつける架け橋となるような記事を目標としています。
可愛らしいイラストを自作し、視覚で楽に理解してもらえる様に工夫しています。また、アメリカでのトレーニングに興味のある方のために、マッチングのシステムについても記事を充実させていくつもりです。
動物と関わるみなさんにとって、できるだけためになる記事を書いていきたいと思っていますので、どうぞよろしくお願いいたします。