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GoodNotesを用いた勉強法/アメリカ獣医大学で学ぶ

はじめに

著者は、日本の獣医大学を卒業後、一般病院で3年間勤務した後、現在アメリカの大学で獣医救急集中治療(ECC)専門医になるためのレジデントをしています。

自分の記憶力の限界を感じ、誰か自分の脳の代わりをしてくれ!という願いも込めて、2年前にiPadを購入したところ、iPadを使いこすにつれてiPadを用いた効率的な勉強ができていると実感しています。

この記事では、普段私がiPadを用いて、どの様に膨大な情報を整理しているかをご紹介します。ノートアプリであるGoodNotesについてはこちらの記事で解説しているので、合わせてご覧ください。

Goodnotesの便利な使い方/アメリカ獣医大学で学ぶ はじめに 著者は、日本の獣医大学を卒業後、一般病院で3年間勤務した後、現在アメリカの大学で獣医救急集中治療(ECC)専門医になる...

勉強の目的に合わせたノート作り

最近の私の学習内容を例にご説明していきます。

例えば、以下の出来事のために情報整理するにはどうするか

  1. 頭を悩ませた症例は掘り下げてリサーチし、次の症例に繋げる
  2. Journal ClubやBook Clubの準備
  3. 学生へのラウンドの準備

これらは、目的によって、情報整理の方法が異なります。これらをジャンル分けして、どの様に勉強をし、どの様に情報を取り出しやすくするための私的まとめ方をご紹介していきたいと思います。

頭を悩ませた症例は掘り下げてリサーチし、次の症例に繋げる

頭を悩ませた症例に関して掘り下げてリサーチし、次こそはスムーズに対応できる様に、自分が納得の行くまで論文や教科書をかいつまんで読み漁ります。論文を全部読むわけではなく、知りたい情報だけを収集します。

ここでの勉強の目的は、将来、同じ様なシチュエーションに遭遇した時に、こんなことがXXに書いてあったな、と思い出せることです。

全てをノートに書き出すのは手間がかかるので、以下のポイントを抑えたまとめを作る様にしています。

  • 自分がリサーチ済みのことと、まだリサーチ済み出ないことをはっきりさせる
  • 自分のサマリーを読んで、よくわからなかった時に、どの文献に立ち返ればいいかがわかる様にすること

この目的で作ったサマリーは以下の様なものです。このノートは、Necrotising fasciitis(壊死性筋膜炎)という病気に遭遇した時に、一度リサーチをして、二度目に疑わしい患者さんに遭遇した時にまた振り出しに戻ってリサーチし直さなければいけなかった経験から作成したノートになります。

これは、はじめの概要をつかむために、人のお医者さんのYoutubeのレクチャーをもとに作ったノートです。左下には、情報のソースをスクリーンショットを使って載せています。ざっと目を通せば、自分が勉強したことが思い出せる様に作っています。

ディスカッションのポイントとして、いつ外科的介入に進むか。という疑問が浮かび上がりますが、その答えをサポートする論文やデータのサマリーをスクリーンショットを用いて簡単に貼り付けていきます。

そして、自分の持った症例の写真を添付すれば、いつどんな状況でこれを過去に調べたかということを鮮明に思い出せます。

壊死性筋膜炎(NF: Necrotizing fasciitis)/アメリカ獣医レジデント備忘録 はじめに 著者は、日本の獣医大学を卒業後、一般病院で3年間勤務した後、現在アメリカの大学で獣医救急集中治療(ECC)専門医になる...

ジャーナルクラブやブッククラブの準備

ジャーナルクラブの準備にかけられる時間は、状況によって異なります。そして、論文の種類によっても読み方を変える様にしています。

アメリカ獣医大学のJournal ClubとBook Reading/ECCレジデント生活 はじめに 著者は、日本の獣医大学を卒業後、一般病院で3年間勤務した後、現在アメリカの大学で獣医救急集中治療(ECC)専門医になる...

自分が発表する場合は、論文をできるだけ隅から隅まで、そして参考文献をリサーチする様にしています。そして、まとめのノートを作る様にしています。

ケースレポート

ケースレポートは、新しい手技や手順が(時に教科書よりも)細かく書かれているため、自分がいざその手技を初めてやる時に備えて、説明書を作る気持ちで読む様にしています。

このサマリーは、子犬の腸重積を内科療法で治療した、というケースレポートについてです。

ケースレポートのイントロダクションでは、ゴールドスタンダードの治療法や人医療の治療法に関する要点が載っています。珍しい病気や治療法の場合は特に役に立ちます。

症例の記述で、症例の詳細及び、どんな治療を施したかが記載されるため、特に治療や手技に関してよく読み込みます。この例では、直腸からフォーリーカテーテルを挿入し、水圧によって腸重積を押し戻すという治療法を行なっています。

いざ、自分がこの手技をやる場合、何Frのフォーリーを用いて、どのくらいのプレッシャーを何分間、そして何分間の間隔を開けて何度繰り返したか、という情報が重要になります。写真がある場合や、イラストを添付することで記憶に定着しやすくなるので、極力載せる様にしています。

Discussionでは、過去の似た様な報告や、人での報告が要約されているので、もっと深く学ぶにはいい情報です。

ブッククラブ

3年後の専門医試験にむけて、教科書を読み合わせを2週間に1回行っています。3年後には、この教科書を勉強したことすら忘れていることが予想されるため、少なくともテスト前に教科書を最初から読み直さなくて済む様、現段階で理解していることを記録します。

ふと思い出した時や、3年後に、自分のノートに戻れば概要を思い出せる様にすることが目的です。

専門医試験勉強としてまとめているノートが、以下の様なものです。

例えば、左上の図から読み取れるのは、心臓内腔の圧力及び、毛細血管の静水圧です。循環器や呼吸器学を理解する上でとても重要な数字になりますが、ふとした瞬間に思い出せなくなることも多々あります。

呼吸生理学でやったんだけどな、、、!!というところまで思い出せれば、このノートに戻って容易に容易に検索することができるのです。

学生へのラウンド

学生に、トピックラウンド(5-10人ほどの小さなグループで、あるトピックに関してディスカッションをする)を行う機会がよくあります。

学生がどんなことを勉強したいか、リクエストしてくれることがあります。そんな時には、リクエストに答えるために、事前に準備をします。

何度も何度も行なっているトピック(CPR, AFASTやTFAST, ショック)に関しては準備をしなくてもスムーズに行えますが、初めてのトピックに関しては事前にどんな流れで行うかを考えておくと非常にやりやすいです。

あくまで、学生に教えている時に「あれ?」とならないためのカンニングシートの様なものなので、フローと間違えそうなポイントだけ書き出します。

ちゃんとしたプレゼンテーションとは違い、みんなでワイワイクイズを出しながら行うので、どうしたら盛り上がるかを考えながら準備するのは楽しい時間です。

検索機能

このGoodNotesには、手書きで書いた文字の検索機能があります。

左上の検索ボタンから、単語を検索することで手書きの文字まで検出してくれるのです。日本語でも検索することができるので、非常に便利です。

どこからでも情報が取りだせる

iPad、iPhone、Mac bookを用いれば、GoodNotesがどこからでも取り出すことができます。私は、ほとんどの電子機器をアップルで揃えているため、iCloudを重宝しています。撮影した写真、スケジュール、Goodnotes、Noteなど、iCloudに同期しておけば、時間のギャップなしに別の端末から情報を取り出すことができるのです。

ノートの作成はiPadで行い、臨床現場にてiPhoneから自分がまとめたものを見ることができるのですごく便利です。Mac bookからでも同様です。

私は、月額90セントでiCloudのデータを50GB購入しています。無料でもいい方法があるのかもしれませんが、私はこのサービスに非常に満足しています。

まとめ

私は、どんなに紙のノートを活用しようと頑張っても、結局うまくいった試しがありませんでした。今思えば、紙だと、散らばる、かさばる、検索できないためだったと思います。どのページかだけではなくついには、どのノートに書いたかすらわからなくなることが多々ありました。

iPadは、そんな紙のノートの欠点を全て克服した、私にとっては人生で必要不可欠な脳の外付けハードディスクとなっています。「Goodnotesの便利な使い方」で具体的なGoodnotesの作り方をご紹介します。

医療x犬猫のイラストをCanvaとProcreateで簡単に作成する方法 はじめに 著者は、日本の獣医大学を卒業後、一般病院で3年間勤務した後、現在アメリカの大学で獣医救急集中治療(ECC)専門医になる...
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みけ
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