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アメリカで働く

アメリカ獣医レジデント オンコールの仕事

はじめに

著者は、日本の獣医大学を卒業後、一般病院で3年間勤務した後、現在アメリカの大学で獣医救急集中治療(ECC)専門医になるためのレジデントをしています。

アメリカ獣医大学での夜間オンコールって何?どんなことをするの?という疑問に答えるような記事になります。

レジデントの生活を1ヶ月ごとにダイジェストする、こちらの記事も合わせてご覧ください。

レジデント生活1ヶ月目ダイジェスト はじめに 著者は、日本の獣医大学を卒業後、一般病院で3年間勤務した後、現在アメリカの大学で獣医救急集中治療(ECC)専門医になる...

夜間オンコール

レジデントにはオンコールという、重大な役割があります。

レジデント=オンコールが大変というイメージがあったのですが、実際にレジデントになってから、それがどういう意味か理解するとともに、大変なことは間違いない、ということがわかりました。

ここでは、夜間のオンコールではどんなことをするか、そしてオンコールの何が大変なのかを解説していきたいと思います。

ERに来院する患者さん

まずはERについてさらっと解説します。

時間外もしくは予約外で来院した患者さんは、基本的にはERを介して来院します。ERに来院した患者さんは、インターンが主治医になります。

病気の原因によって、神経検査が必要になったり、整形外科の検査、眼科検査が必要になることなど、様々です。爪から血が出ているなどの場合は、専門科の診察が必要のない場合もあります。

ERに来院する患者さんは大きく二種類に分けられます。状態が急変して、救急的な治療が必要な場合、もしくは専門科の診察が必要だけれども数週間先のアポイントメントまで待てないような場合です。

前者の場合はERを診る獣医師(インターン)が全体的に患者さんを評価して、専門科のコンサルテーションが必要かどうかを判断することになります。後者の場合は、大抵どの科に転科させなければいけないかがわかっていることが多いため、サポーティブケアを一晩行い翌日に転科することになります。

ERのドクター

ローテーティングインターンは1年間のプログラムで、専門科をローテーションすることになりますが、多くの病院がローテーションの50%はERに配分を置いています。

理由としてはERが最も総合的な知識が学べる環境であることと、必要最低限のスキルや経験ができる(例えば処置、飼い主さんとのコミュニケーションなど)ためです。

全てのローテーティングインターンが専門医を目指しているわけではなく、中には一般診察のレベルを上げるために1年間修行をする先生もいます。

アフターアワー(時間外)

時間内(スタッフの勤務中)であれば、ERの症例が特異的な科からのコンサルテーションを受けることは簡単です。実際にその科に患者さんを連れて行ってみてもらうことができるからです。

しかし、大学病院に人がいなくなった時間(アフターアワー)に来院した患者さんを診る場合には、オンコールの先生の力を借りる必要があるのです。

例えば、胃内異物の症例であれば、内科のオンコールが電話を受け、夜中に内視鏡を行うかの判断をします。異物による消化管閉塞であれば、外科のオンコールが電話を受け、夜中に手術を行うかを判断します。もちろん、多くの場合、レントゲンや超音波検査が必要なので、画像科のオンコールが読影します。

また、緊急的な重症患者さんに対してはECC(クリティカルケア)のオンコールが電話を受けて必要に応じてベンチレーションのセッティングを行うこともあります。

もしくは、特殊な手技が必要な場合でなくても、オンコールに連絡することはできます。例えば、DKAの初期治療をどうしたらいいかなど、治療に関する、質問もオンコールのレジデントが対応することになります。

インターンは新卒間もない、特に専門的な勉強をしていない先生が多いです。大学ではバックアップ体制の一つとして、オンコールのレジデントに電話をして、コンサルテーションを受けることができるのです。

大学のバックアップ体制

この様なバックアップ体制が整っていることで、インターン、レジデントが安心して働けるのです。もしもオンコールのレジデントが判断に困った場合は、オンコールのファカルティに電話をかけることになります。

インターンからオンコールのレジデント、そしてレジデントからファカルティ、そしてようやく、ファカルティと相談したレジデントからインターンへの指示がいくというステップを踏むことが大学病院では鉄則です。周りくどいですが、この順番は基本的にはスキップできません。インターンからファカルティに直接連絡というのはいろんな意味で許されないのです。

いくらインターンが自信があっても、「インターンの立場で一人で判断するべきことではない暗黙の了解」ということもあります。インターンは「なんでオンコールの先生に相談しなかったの?」と問い詰められることはありますが、「なんで電話してくるんだ」と怒られることはありません。

そして、ECCのオンコールは少し特殊です。重症患者に関しては、他の科と同様、電話で受け答えられるものは電話で対応し、もしも挿管、人工呼吸などが必要になった場合はオンコールが病院に駆けつけることもあります。

ECCのオンコールはそれだけではなく、新人のインターンたちのERを監督する必要があるのです。私が働く大学では、最初の数ヶ月は、全ての時間外ERの症例を、ECCのオンコールに連絡して確認するという決まりがあります。なのでオンコールになると、爪から出血している、という症例に関しても連絡が来ることになります。

オンコールを経験して

オンコールをやってみて、何が一番大変だったかというと、インターンの症例プレゼンテーションのクオリティによって、症例に関して把握できる情報量が大きく異なることです。

重要なポイントを簡潔に伝えられるプレゼンテーションと、そうでないものでは、オンコールで必要な労力も大きく異なります。翌日になって、「こんなこと昨日電話した時言ってなかったよね?!」というサプライズが待ち構えていたりするのです。

私が常識だと思ってあえて質問しなかったことでも、インターンにとってはそうでないこともあります。プレゼンテーションを鵜呑みにせずに、全ての必要事項を自分から聞いて確認するということが重要だということを学びました。

オンコールの時間とスケジュール

オンコールの仕事は夕方5時(ファカルティが帰宅する時間)から朝の7時30分(ファカルティが出勤する時間)に行います。この時間が一番ERが忙しい時間になります。なので夕方帰宅してから2時間おきに電話がかかってくることも珍しくありません。

私の大学でのECCオンコールは、レジデント2人で割り振ることになります。なので週に3-4回割り当てられます。

大学によってオンコールのシステムは異なります。私の友達のECC専門医の先生は、全ての紹介患者さんがERに来院した場合、何時であろうがレジデントは大学に行って患者さんを直接評価して治療方針を決めなければいけないというルールがあったと言っていました。

おわりに

この記事では、オンコールの仕事について解説しました。インターンにせよレジデントにせよ、円滑なコミュニケーションが非常に重要になります。そしてコミュニケーション能力こそ、研修医がファカルティに評価される大事なスキルといっても過言ではありません。

電話でのコンサルテーションは緊張が伴いますが、しっかりケースプレゼンテーションの練習すれば大丈夫です。

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みけ
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