この記事の内容
- かかりつけ病院の選び方
- 担当獣医さんの選び方
- 実際に病院へ行ってみましょう
- まとめ
私は、日本の獣医大学を卒業後、一般病院で3年間勤務した後、現在アメリカの大学で獣医研修医をしています。ペットと一緒にアメリカに移住してきた、もしくはアメリカでペットを飼っている方には、かかりつけ病院と担当の獣医さんをつくることを強くお勧めします。この記事では、実際にかかりつけ病院をどのように選ぶか、どう活用するか、をご紹介します。
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かかりつけ病院の選び方
大きなジャンル
- 大学病院に併設するコミュニティプラクティス(この施設に関してはこちらを参照)
- プライベートの動物病院の二次施設
- 一般の動物病院
上記二つは、専門医が働く専門科を持つ大きな病院になります。メリットは、何か異常があったときの精密検査などのトランスファーが円滑に進むことが特徴です。
デメリットとしては勤務している獣医師が多いところは大抵すごく忙しいです。指名ができず、様々な先生が診察することになりかねません。また、忙しくて長時間の相談などがしにくい可能性もあります。そして待ち時間が一般の動物病院より長いことが多いです。
一方、一般の動物病院は何か異常があった時、検査機器などに限界があるので、詳しい検査が必要な時には二次病院に紹介することになります。同じ病院内でできないので、一度退院して、大きな病院に移動しなければなりません。これは一つのデメリットですが、メリットとしては、獣医師との信頼関係が築きやすいということです。
一般病院で予約制のところは大抵1症例あたりの枠が決まっているとは思いますが、より信頼関係を築き安い環境だと言えます。
賢いやり方だな、と思ったのは、基本的には一般病院に通っていて、病態が不安定になったり心配なことがあったら大学病院の専門科で予約を取る、ということを徹底していた方がいらっしゃいました。この場合、一般病院のかかりつけの先生だけでなく、専門科の先生ともかかりつけの先生を介して信頼関係を築くことができます。
病院の選び方
非常に難しい問題ですが、物知りで有名な獣医さんがいる病院が必ずしもいい病院なわけではありません。やはり、獣医さん以外のスタッフを含めた動物病院全体をみて決めることが重要です。
また、動物病院で働いていると、強く思いますが、スタッフ、特に看護師さんは1度患者さんをみただけでも、すごくよく覚えています。この能力は本当にすごいと思います。「この子はフードアレルギーだったよね」「皮膚病よくなってるね」「この子は男の人が苦手なのよね」など、細かいことまでちゃんと覚えていてくれるスタッフがたくさんいます。
そういいったスタッフの細かい気配りだったり、病院の雰囲気だったりも病院選びに非常に重要な点になると思います。
担当獣医師さんの選び方
かかりつけ病院の選び方は、おそらく日本と同じたと思いますが、担当の先生をどれだけ信頼できるかで選ぶのがいいかと思います。
ここまで読んでがっかりされる方もいらっしゃるかもしれませんが、最高の担当獣医さんを決めるマジックは存在しません。本当に信頼できる口コミもありません。
ある人が素晴らしいと評価した病院も、別の人からは、二度と行きたくないひどい病院と言われているかもしれないからです。口コミは口コミとして一つの情報として捉えましょう。
私の意見としては、飼い主さんにとっていい獣医さんとは、全ての可能性をわかりやすく提示した上で、ご家族の意向に沿ったプランを示してくれる存在だと思っています。もちろん、飼い主さんによっては、全部説明してくれなくていいからベストだと思うことを全部やってくれ、と言われる方もいらっしゃいます。もしくは、全部の可能性を把握したいという方もいらっしゃいます。
それも踏まえて、飼い主さんに合わせた説明、プランニングができる獣医さんがいい獣医さんなのではないかと思っています。
獣医さんのスキルや知識を診察中に評価することはできません。結局どんなふうにコミュニケーションをとるか、というところに着目してしまいがちです。私のお勧めは、以下の点を実際に健康診断などで、行ってみて、評価してみることです。
- 信頼できるか
- 話しやすいか
- 英語は聞き取りやすいか
- 家族の特別な状況を理解してくれるか
- 時間を使って真摯に相談に乗ってくれるか
- 説明はわかりやすいか
- 二次病院に快く紹介してくれるか
- ペットは拒絶していないか
一般病院の先生は、基本的にオーナーさんとの信頼関係の構築をすごく重視しています。合わないと思ったら我慢せずに、先生を変える、病院を変える、などの手をとってもいいと思います。
実際に病院へ行ってみましょう
やはりいくら評判がいい動物病院でも、実際に相性が合うかどうかは行ってみないとわかりません。
初めに行く病院は口コミでも、最寄りの動物病院でもいいと思います。ペットが健康な場合は病院や獣医さんを見定めに行くつもりで、診察に行くといいかもしれません。
基本的には予約が必要になるので、appointmentを取りたいと伝えると大抵同じ週で予約を入れてくれます。その時に、日本から越して来たこと、もしくは新しく飼い始めたことを伝えてください。身体検査や毎年必要な健康診断は英語でannual check up, anual examと言います。
予約なしで直接病院に行く、walk-inが可能な病院もありますが、予約の隙間を見て診察する形になるので待ち時間が長くなることがあります。また、予約無しにはできない検査もあるかもしれないので、事前に連絡をすることをおすすめします。
診察の前の準備
- 診察時後にもらう書類 (Discharge summary/Medical record)
- ワクチン証明書 (proof of vaccination)
- 予防以外で投薬投薬していれば薬の名前、用量、頻度を把握
- 食事(Diet)
アメリカで必須の予防、強く推奨される予防などは別の記事にまとめているので参考にしてください。事前に予習しておくと意思疎通しやすいです。何の予防が必要か、しっかり把握しておくことで当日ワタワタすることも少なくなります。
病院が変わるときは、前の病院のカルテ(Discharge summary/medical record)を準備しましょう。
これらは、診察から数日後(普通は2日前後)でメールか郵送で送られてきます。もしなくしてしまった場合は、問い合わせて、メールやファックスで入手するようにしましょう。Invoice(領収書)には、病院で何をしたか書いてあることもありますが、具体的な薬の名前、用量などは記載されませんので、あまり役に立ちません。Discharge summaryを準備するようにしてください。
もし既往歴がある場合は、どんな治療を受けていたか、などの情報も重要になります。できればペット用のノートやファイルを用意して、情報をまとめておくといいと思います。
食事の変更が進められることもあります。問診でどんなご飯を与えているかは必ず聞かれると思うので、答えられるように把握しておきましょう。
まとめ
- いい病院、いい獣医師を見極めるトリックは残念ながらありません
- 実際に行ってみて、自分の目で確かめて決めることをお勧めします
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