この記事の内容
- 推薦状が重要な理由
- 推薦状の詳細
- 強い推薦状をもらう戦略
著者は、日本の獣医大学を卒業後、一般病院で3年間勤務した後、現在アメリカの大学で獣医研修医をしています。マッチングを2回経験して、今年3回目のマッチングに応募します。
マッチングに応募する際、Recommendation letterという推薦状が最低3枚、必要になります。この推薦状の内容はマッチング応募に必要なパッケージの中で、最も重要な項目と言われています。どんなに成績が良くても推薦状の内容によって、大学側の応募者に対する評価がひっくり返ります。
この記事では、なぜ推薦状がここまで重要か。どうしたらいい推薦状がもらえるか。を考察していきます。
推薦状が重要な理由
推薦状は、マッチングのパケットの中で最も大事な要素だと言っても過言ではありません。
Personal statementもCVも全て候補者が良いように書き表せるものです。しかし、周りの評判というのはごまかすことはできません。長く働けば働くほど、候補者の能力、仕事倫理や人間性というものが伝わるものです。
そして、アメリカといえど、獣医の業界も非常に狭いです。「この先生がこう言っていた」という口コミは広がってしまいます。
私が初めてマッチングに応募する際に友人から聞いた話ですが、悪い推薦状を書かれてしまったことが発覚し、その推薦状が各大学の先生に行き渡るのを恐れて、その年のマッチングを見送ったインターンメイトがいたと。
それだけ評判というものは恐ろしいもので、有名な先生に悪い推薦状をかかれるくらいなら、無名の人に適当なことを書かれた方がマシなのです。
初めにも書きましたが、どんなに成績がよくても、どんなに経歴がよくても、推薦状で全てがひっくり返ります。このシステムがあるおかげもあって、研修医なるべくお利口でいるようにしますし、周りの人から嫌われないようにも努力します。
facultyは直接の評価だけではなく、看護師さんやレジデントに、この子どう?という意見を必ず聞いています。アメリカの大学はevaluationが非常に重視されます。前の大学では、研修医が学生、他のintern, resident、そして看護師さん、facultyの評価が定期的に行われました。
それを思うと、研修医が様々な角度から評価され、それがfacultyに伝わっているということも容易に想像がつきますね。これだけ様々な面からの評価が反映されていると思えば、推薦状の価値がいかに高いかおわかりいただけたと思います。
推薦状の詳細
推薦状の詳細はVIRMPにPDFが掲載されているため、そちらを参照にしてください。
https://www.virmp.org/Content/SLOR_2020.pdf
1ページ目は以下のような質問から始まります。
- 候補者とどのくらいの期間知り合いですか?
- 現在、候補者と一緒に働いていますか?
- 候補者とどんな関係ですか?(直接一緒に働いたことがあるかなど)
- もしもあなたの病院のポジションに候補者が応募してきた場合、どのくらいの可能性で採用しますか
- 候補者がマッチする可能性はどれくらいあると思いますか
- 候補者のwork ethicsをどう評価しますか
- 候補者を指導するのはどのくらい大変ですか
ゾッとしますね。このように、生々しい質問が6ページに及びます。
最後の自由記載欄はこのようなものになります。
あまり一緒に働いていない先生に推薦状をお願いしてしまうと、この欄に書くことがない、ということが生じてしまいます。私のインターンメイトは、あるfacultyに推薦状を頼んだところ、書くことはできるけど、一緒に働いた時間が少ないからPersonal statementを送ってというふうに言われたそうです。
ただ1年インターンとして働いているだけではなく、しっかり一人一人のfacultyにアピール、自己主張することが非常に重要になるのかと思います。
強い推薦状をもらう戦略
- 誰に頼むかを考える
- 推薦状を書いて欲しいということを2-3ヶ月前に伝える
- 推薦状の内容を把握し、日々アピールする
- Strong letterをもらうために自分に足りないものを直接聞く
- Strong letterをもらえる人にたどり着くまで推薦者を探し続ける
- 1ヶ月前あたりにstrong letterを書いてもらえるかを確認する
長くなってきたので次の記事に分けます。これらの戦略に対して生まれるであろう疑問に自分なりの答えをご紹介していきます。