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アメリカで働く

アメリカ獣医大学 インターンの1日②ナイトシフト

はじめに

著者は、日本の獣医大学を卒業後、一般病院で3年間勤務した後、現在アメリカの大学で獣医救急集中治療(ECC)専門医を目指して、インターンをしています。

この記事では、アメリカ獣医大学 インターンの1日①に引き続き、ECCスペシャリティインターンのナイトシフトについてご紹介します。アメリカ大学のインターンがどの様なことをしているか、興味のある方が対象の記事になります。

アメリカ獣医大学 インターンの1日①スイングシフト はじめに 著者は、日本の獣医大学を卒業後、一般病院で3年間勤務した後、現在アメリカの大学で獣医救急集中治療(ECC)専門医を目指...
アメリカ獣医大学 インターンとは はじめに 著者は、日本の獣医大学を卒業後、一般病院で3年間勤務し、2022年現在、アメリカの獣医大学で救急集中治療(ECC)の専...

ナイトシフトのメインの仕事

大学によって、ナイトシフトの責任は大きく異なります。私が所属する大学では、夜間獣医師はインターン一人になります。薬局、受付、ライセンスを持つ看護師さんもいなくなる時間があります。よって今の大学では、すべてのことを自分でできる必要があります。

メインの役割は、入院患者の管理と、夜間ERに来院した患者さんを導入することの二つです。

ICUのナイトシフトがある大学は、入院患者の管理とERを同時に行う必要はありません。その場合、入院患者はICUのドクターが、ERをERのドクターが担当することになります。

基本的に私の大学では、2-3人の学生と一緒に働くことになるので、学生への教育も役割の一環です。

到着後すぐにすること

私の大学では、オーバーナイトのシフトは夜の9時から朝の10時まで(13時間シフト)です。

夜9時に到着して、ERがバタバタしている場合は、外来を手伝います。もしも外来が落ち着いている場合は、入院患者さんを一通り見回します。どんな患者さんが入院しているかは、ケージのサインを見れば一目瞭然になっています。

ケースラウンドを行う前にこれをしておくことで、ケースラウンド中に適切な質問をすることができます。

ケースラウンド

しつこい様ですが、大学によって、入院患者さんの管理も大きく異なります。私の大学では、夜間勤務の獣医師が入院患者に何かあったときに最初の判断を下しますが、最終的に判断をするのは常に担当獣医師になります。

例えば、内科の患者さんが急変した場合、緊急であれば夜間のインターンが何が起こっているのかを評価し緊急対応しますが、薬の投薬などが必要になる場合は担当医に何時でも電話することがルールになっています。

ケースラウンドでは、ヒストリー、診断、プロブレムリスト、治療内容、夜間のモニター内容、注意事項、プランが引き継がれます。また、夜にこの患者さんにXXXが起こったらYYYしてね、という指示を確認します。

例えば、発作のモニターがある患者さんであれば、発作が起こったらミダゾラムを、3回入れてもダメならCRIに切り替え、などです。

基本的にICUにいる患者全員を把握している必要があります。週の始まりは、全員知らない患者さんなので時間がかかります。日にちが経つにつれて、患者さんの状況をより深く理解できているので、引継ぎが楽になっていきます。

入院管理

処置に関しては、看護師さんや学生が中心になって行いますが、人手不足なので獣医師も手伝います。投薬やバイタルのモニターを効率よく行います。

神経科の患者さんでは、排尿管理だったり、尿量をモニターしている患者さんでは尿量を計算してカテーテルをきれいにして、など細かいことはたくさんありますが、患者さん一人一人想定外の異常がないかを確認していきます。

治療シートに「call parameter」というものが設定されています。例えば、血圧<90mmHg、などのパラメーターがあった場合、もしも引っ掛かった場合は担当のクリニシャンに伝えることになっています。

緊急の場合は担当医にすぐに電話して指示を仰ぎますが、電話をする前に、自分でしっかりと評価をしてから提案を含めるようにしています。実際にその場にいないとわからないこともあるので、プランをあらかじめ提案できるようにしてから電話をするようにしています。

上部気道閉塞の患者さんが夜間急変した時、すぐに挿管しないと死んでしまいそうな状況だったので、挿管が事後報告になったこともあります。

テレフォントリアージ・ERの診察

テレフォントリアージでは、夜間にかかってきた飼い主さんからの電話で、いますぐに来院するべきか、明日まで待てるか、見積もりは大体いくらくらいか、などをアドバイスします。ここで重要なのは、どんな症状を呈していたら、来院することを推奨するべきかというところです。

電話して獣医さんにモニターして大丈夫って言われたからしたら亡くなった、ということは避けたいところです。なので、必ず、最悪の自体を想定して、いますぐ来院するべきなのか、どんなサインがあったら来るべきか、などを伝えるようにしています。

ERに来る患者さんを診るのも大きな役割です。日によって件数は様々ですが、多くて5-6件くらいでしょうか。初めは、5-6件なんて大したことないと思っていましたが、受付も薬局も画像科も誰もいない中の5-6件は結構しんどいです。

カルテ作成、薬の処方、レントゲン検査、お会計、獣医の仕事らしくないことも全てを自分でします。1件に2-3時間費やすことは稀ではありません。

モーニングアクティビティ

インターンやレジデントは、どのプログラムでもdidactics(勉強活動)があります。レジデントが専門医試験に向けて知識を集積する必要があるので、ジャーナルクラブやbook readingやセミナー、M&M(Morbility and Mortility)といった朝活が、私の大学では毎日行われています。

プログラムによってはこれらの活動への力の入れ具合が異なります。私は2つの大学でこれらの活動に参加してきました。今の大学はすべての勉強会にファカルティが参加するので、評価されるという緊張感があり、みんな集中して取り組みますし、しっかりと準備してくるので、質が高いです。

また、プライベートの病院でも、ECCのレジデントやインターンのプログラムを持つところもありますが、基本的にはクリニックがメインで、ジャーナルクラブやブックリーディングを毎週行わない場合が多いそうです。アメリカ人の友人が、大学のプログラムに参加したかった理由(プライベートの大学ではなく)はこれらの勉強会がしっかりあるから、と言っていました。

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今の大学では、朝の8-9時で朝のこの活動をして、9-10時にケースラウンドをしています。

ケースラウンド/シフト交代

ケースラウンドでは、ICUの患者さんが夜どうだったか、夜間に新しく入院した患者さんの引き継ぎをします。

私の大学では学生がケースプレゼンテーションを行います。私たちインターンやレジデントは、学生が漏らした部分や、詳細を付け加えるようにサポートをします。ICUには大抵10-15頭くらいの患者さんが入院しているので1時間くらいはかかります。

ケースラウンドのシステムも大学ごとに違います。人不足ということもあり、以前の大学では、ICU患者は夜間を通して全てが担当獣医師の責任でした。なので特に引き継ぎもなく、何か異常があれば担当の獣医師が夜中にでも駆けつける必要がありました。本当に緊急時は、夜勤をしているローテーティングインターンが一時的に安定化を行いますが、すべての判断は担当医が下します。

こうして、すべての患者さんの引き継ぎが終わると夜勤から開放されます。大抵、朝の10時半くらいに帰ってきて、少し何か食べて、寝るという具合に1日が終わります。

夜7時頃におきたらシャワーを浴びてまた出発。と言った形で1週間が過ぎます。体力的に、控えめに言ってもとてもしんどいです。この夜勤が、(インターンの数が毎年違うので、年によりますが)1年間に8週間、割り当てられます。

まとめ

この記事では、私の大学での夜勤について紹介しました。正直なところ夜勤はシフトの中で一番しんどいです。なんと言っても13時間労働と非常に長いのです。その間、ICU患者の全てが任されているという責任感ものしかかるので8週間という期限があるからやっていけてるところが大きいです。その分、獣医師としての力の見せ所という面もあります。ICU患者さんの急変をいち早く気がつけたか。どんな対応ができたか。というパフォーマンスをケースラウンドを通じて示すことができます。それによって、ファカルティからの信頼を得ることもできると思います。

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