この記事の内容
- 皮筋検査はなんのためにするか
- 皮筋検査はどうやるか
- 皮筋検査の結果の解釈方法
著者は、日本の獣医大学を卒業後、一般病院で3年間勤務した後、現在アメリカの大学で獣医研修医をしています。
この記事では、皮筋反射の検査方法と、検査結果の解釈について解説します。
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皮筋反射はなんのためにするのか
皮筋反射は、脊髄損傷部位を予測するためのヒントになります。脊髄損傷によってMRIを取られた患者さんの80%で皮筋反射が消失した位置の4椎体前までに病変が存在。48.5%が2-3椎体前に病変が存在したという結果の論文があります。
脊髄の病変の有無を疑うヒント、さらには脊髄病変のローカリゼーションにも役立つことがわかります。
皮筋反射の方法
患者さんが立位の状態で行います。
やり方は、まず触診で腸骨稜(腸骨翼のでっぱっている部分)を確認します。
腸骨稜のすぐ頭側、脊椎の棘突起から1-2cm左右に離れた部分の皮膚を鉗子で摘みます。
このあたりが、L4の位置になります。これより後方は、皮筋反射検査の感度が低いといわれているのでL4をスタート地点として、1-2cmごとに皮膚を摘んでいきます。これを両側行います。
後方から前方に進んでいき、皮筋反射がみられた時点で検査を終了します。
重要なのは、どこから皮筋反射がみられるか、というカットオフの位置になります。消失が見られた部位が何番目の椎体かを数えます。
皮膚が厚い動物、被毛が多い動物では、より強い刺激が必要かもしれません。
皮膚からの刺激はT2-L7の領域に伝わり、C8-T1の髄節で外側胸神経とシナプスして皮膚(図の青い部分)の収縮が起こります。以下の動画の最後で皮筋反射がうつります。この皮膚の動きを覚えてください。
皮筋反射の結果の解釈
皮筋反射のカットオフの部位から、だいたい2-4椎体前に病変があると言われています。
以下の例を見てみましょう。腸骨稜のすぐ前方あたりから皮筋反射がみられたとします。この場合、必然的にそこよりも前方は正常ということになるので、図の様に前方に進んでいく必要はありません。そして、この患者さんの皮筋反射は正常ということになります。
次の例では、L4のあたりから反射が消失しており、前方に移動させていくとおよそT5の部位で皮筋反射がみられました。その場合、カットオフはT6あたりということになります。
脊髄病変はカットオフの2-4椎体前なので、T2-T4が疑われる病変部位ということになります。
まとめ
- 皮筋反射は、脊髄に病変があるか、そしてニューロローカリゼーションに役立つ
- 皮筋反射のやり方と解釈方法をマスターしましょう
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