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【アメリカでペットと暮らす方へ】パグ、ブルドッグを飼われている方必見!短頭種気道症候群とは

この記事の内容

  • 短頭種と長頭種の呼吸器の違い
  • 短頭種気道症候群とは
  • 気道を広げる予防的な手術について
  • まとめ

著者は、日本の獣医大学を卒業後、一般病院で3年間勤務した後、現在アメリカの大学で獣医研修医をしています。これまでに短頭種のわんちゃんの呼吸器の病気をたくさんみてきました。この記事では、なぜ短頭種で呼吸器の病気が多いのか、そして緊急事態を防ぐためにできる予防的な手術について、イラストを使ってわかりやすく説明していきます。

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短頭種と長頭種の呼吸器の違い

短頭種の気道を表すイラスト
長頭種の気道を表すイラスト
  • 鼻の穴が小さい
  • 鼻から気管までの気道が狭い
  • 気管が細い

簡単にいうと、外界からの空気が肺に到達するまでの道のり(気道)が狭い、ということです。鼻の穴、鼻から気管、気管と全ての通り道が他の犬種の犬よりも非常に狭いです。外から見えるのは鼻の穴の大きさだけですが、体の内部でも明らかな解剖学的な違いがあります。

この解剖学的な違いによって、他の犬種と比べて酸素を肺まで送り込むのが非常に不利になります。ここから、「短頭種気道症候群」と言われる短頭種に多い病気を解説していきます。

短頭種気道症候群とは

短頭種気道症候群とは、短頭種に多い、4つの気道の病気の総称です。

  • 鼻の穴が小さい =外鼻孔狭窄
  • 軟口蓋が長くて太い =軟口蓋過長(軟口蓋については後述)
  • 喉頭小嚢の反転 =喉頭小嚢が反転して裏から表に出てくる(喉頭小嚢については後述)
  • 気管が細い =気管低形成

ここから図を使って説明して行きます。

鼻の穴が小さい =外鼻孔狭窄
短頭種の外鼻孔、鼻の穴を表すイラスト

短頭種のわんちゃんの鼻の穴をよく見ると、鼻の穴という穴がほとんどない子がいます。正常に空気を気管に送り込むには、コンマ状の鼻の穴である必要があります。多くの短頭種のわんちゃんはコンマではなく線状の鼻の穴をしています。

鼻の穴は空気が最初に通過する入り口になります。この最初の入り口が塞がっていることで、多くの短頭種のわんちゃんは常に努力して呼吸をすることになります。この記事を読んでいる方も試しに鼻の穴を半分塞いで鼻から呼吸してみてください。私もやりましたが、非常に苦しいですね。

軟口蓋が長くて太い =軟口蓋過長
短頭種の軟口蓋を表すイラスト

口蓋とは、鼻と口を仕切る間の組織のことです。(イラスト参照)舌で喉の方までたどってみると、奥の方は柔らかい組織に変わることがわかると思います。硬い部分を硬口蓋、柔らかい部分から先を軟口蓋と呼びます。

短頭種の軟口蓋の病気を表すイラスト

短頭種のわんちゃんは、この軟口蓋が長くて太い傾向にあります。気道の通り道には被らないのが普通ですが、軟口蓋が伸びていると気管の入り口である喉頭と呼ばれる部分を塞いでしまいます。

喉頭と気管を表すイラスト
正常な喉頭

軟口蓋が長い時の喉頭と気管を表すイラスト
長い軟口蓋
喉頭小嚢の反転 =喉頭小嚢が反転して裏から表に出てくる
喉頭小嚢反転がある時の喉頭と気管を表すイラスト

喉頭小嚢とは、喉頭の裏側にある膜状の小さな袋ですが、本来は裏側に位置しているので表に出てくることはありません。短頭種の多くのわんちゃんは、努力呼吸といって、激しく息を吸っています。この慢性的な努力呼吸によって、喉頭小嚢と言われる部分が表に出てきてしまい、喉頭を塞ぎます。

気管が細い =気管低形成

気管低形成とは、気管が正常な太さに成長しないということです。気管まで到達した空気が肺に到達するまでに、さらに細い管を通ることになります。

気道を拡げる予防的な手術について

ここまでで、空気の通り道が狭くなる4つの病態を説明してきました。短頭種であるというだけで、生涯、呼吸が苦しく、上部気道閉塞で亡くなってしまうリスクがあるということです。

この気道の狭さを改善し、生活の質を向上させるための予防的な手術があります。

まずは短頭種気道症候群の4つのうちどれが当てはまっているかを検討する必要があります。1つだけの場合もあれば、全て当てはまっている場合もあります。最後の気管低形成については改善方法はありませんが、残りの3つに関しては予防的な手術によって、気道を拡げてあげることができます。

手術の詳しい内容に関してはこちらの記事をご参照ください。

この手術は、なるべく早いうち(避妊手術や去勢手術と同時)にしてあげることをお勧めします。理由の一つは、苦しい期間を短くしてあげられるという点。もう一つは、上部気道が閉塞されていることで起こる合併症(胃腸運動障害)を予防できる可能性があるからです。

私は、日本で獣医師として働いている時、避妊去勢の相談でこられた短頭種の飼い主さんには必ずこの手術を推奨していました。手術をした後、再診でこられた際の飼い主さん方の満足度がすごく大きかったことを今でも覚えています。

手術のタイミングは、早すぎると成長途中の場合があり、手術後に成長してしまう場合もあるので、かかりつけの獣医さんとタイミングを相談することをお勧めします。

まとめ

  • 短頭種のわんちゃんは気道が狭い
  • 短頭種気道症候群とは、鼻から肺までの空気の通り道が塞がる4つの病気の総称
  • 短頭種気道症候群の予防的手術が推奨される

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みけ
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