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イラストで学ぶ生理学と病気

【アメリカでペットと暮らす方へ】犬の尿管閉塞を図でわかりやすく解説②

尿管閉塞の治療プラン

この記事の内容

  • 犬の尿管閉塞とは
  • 初期安定化
  • 犬の尿管閉塞の治療オプション
  • 役立つ英単語
  • まとめ

著者は、日本の獣医大学を卒業後、一般病院で3年間勤務した後、現在アメリカの大学で獣医研修医をしています。

この記事では、様々な犬の尿管閉塞についてご紹介します。尿路に何が起こっているか、どんな治療オプションにがあるかを図を用いてわかりやすく解説していきます。アメリカでご自身のペットにそのようなことが起こった時に、活用していただけたら幸いです。

ここでは、【アメリカでペットと暮らす方へ】犬の尿管閉塞を図でわかりやすく解説①の続きで、3つの手術オプションに関してメリットデメリットを説明していきます。

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尿管閉塞の治療プラン

結石をとる

単純にいうと、お腹を開けて、尿管を切って、閉塞している結石を取り出す手術です。取り出した後は切った尿管をつなぎ合わせて閉腹します。

明らかに結石が閉塞を生じていることが確認された場合に適応になります。もしプラグや腫瘍が原因だった場合はこの方法は適応できません。

メリットデメリットをご紹介します。

尿管結石摘出術のメリットデメリット
メリット

他の二つの方法は体内に異物(デバイス)を入れる手術になります。人工物を体に埋め込むと、異物反応や感染などのリスクがつきものになってきます。よって、この手術ではデバイスを使わないため、これらの合併症の心配はありません。

デメリット

デバイスを使わなくて済むのは非常に大きな利点にはなりますが、また結石が新たに生じた時に、同じように詰まってしまう可能性があります。内科治療を始めていくことが非常に重要になりますが、残念ながら結石を100%予防することはできません。再発した場合は同様の手術が必要になってきます。

犬の尿管は猫の尿管よりも太いので、猫ほど尿管の再建が難しくはありません。それでも、漏れが生じたりする合併症が出ることもあるので、高度な技術が必要な手術です。

尿管ステント設置

尿管ステント設置術とは、尿管の中に管を通して、尿路を確保する手技になります。基本的には、結石をとった後にステントを設置することになります。

尿管ステント術のメリットデメリット
メリット

尿管ステントのメリットは、ただ石をとって尿管を縫い合わせる手術に比べると、再発のリスクが減ることです。なぜなら、結石が尿管に落ちたとしても、ステント内の尿の流れは確保されるからです。

尿管ステントのデバイスによる合併症は、SUBシステムによるものと比べると、少ないです。なぜなら、異物の大きさ、長さ、複雑さが違うからです。尿管ステントは、1本の細い管なのに対して、SUBシステムのデバイスは複雑で表面積も大きいです。

SUBシステムと違うところは、定期的なデバイスのメンテナンスが必要ないというところです。一度設置して安定してしまえば、3ヶ月に1回くらいの定期的なチェックで済むことが多いです。

デメリット

ステントが閉塞する、という合併症もあります。しかし、ステントを通しておくことでステントの脇である側路を尿が通過できる可能性もあるので、必ずしもステントが機能してないからといって再手術が必要になるわけではありません。

異物による合併症はどうしてもつきものです。ステントの閉塞、感染、ずれは100%防ぐことはできません。

SUBシステム設置

SUBシステムとは、Subcutaneous Ureteral Bypassの略です。尿管に詰まった結石やプラグなどは放っておいて、新たに尿を腎臓から膀胱に送る経路(バイパス)を作るシステムのことです。尿管の役割を果たす人工的な管を体内に設置する、と言ったところでしょうか。

Subcutaneousというのは皮下という意味で、腎臓から皮下を介して膀胱に管をつなげます。皮下にはポートが設置され、外から管の中身を洗浄できるような仕組みになっています。

犬では、このデバイスを体に埋め込むことによる副反応が猫よりも多く生じます。そして猫と比べると犬の尿管は太いので、もちろん状況によりますが、猫と比べると尿管切開やステントが適応されるケースが多いです。

SUBシステム設置術のメリットデメリット
メリット

メリットは、手術中、髪の毛並みの細さの尿管をいじらなくていいので、手技は他の2つの方法よりは簡単で、手術時間も短くなります。尿管閉塞の原因が何であれこの人工的な管を入れてしまうことで尿路を確保することができます。

実はこの管、皮下にポートを埋め込むような設計になっています。この皮下に設置したポートによって、管がつまりそうな時に外から生理食塩水などでフラッシュ(つまりを流す)することができます。

デメリット

異物による合併症が最も高い可能性で出ます。感染、再閉塞、ずれなどです。

もう一つ、大きなデメリットとしては、デバイスのメンテナンスが必要になります。具体的にいうと、皮下のポートを定期的に洗浄しなくてはなりません。

仰向けになってもらい、お腹のポートに針を指します。その針を介して生理食塩水と尿の出し入れをして管の中を流していきます。

約1ヶ月に1回に頻度でこの処置が必要になります。システムの中か再閉塞しないようにするための予防措置です。これをしっかり行っていたとしても、残念ながら再閉塞してしまう場合も少なくありません。

役立つ英単語

  • urinary tract: 尿路
  • ureter: 尿管
  • obstruction: 閉塞
  • Ureteral obstruction: 尿管閉塞
  • struvite: ストラバイト
  • calcium oxalate: シュウ酸カルシウム
  • crystal: 結晶
  • plug: 栓子
  • cast: カス
  • cancer/tumor/neoplasia: 腫瘍
  • clot: 血の塊
  • stabilization: 安定化
  • potassium: カリウム
  • arrhythmia: 不整脈
  • bradycardia: 徐脈
  • antiarrhythmic medication: 抗不整脈薬
  • ureterotomy: 尿管切開
  • ureteral stent: 尿管ステント
  • subcutaneous: 皮下
  • subcutaneous ureteral bypass system: SUBシステム
  • bypass: 迂回
  • device: 装置
  • complication: 合併症
  • recurrence: 再発
  • migration: ずれ
  • reocclusion: 再閉塞
  • infection: 感染
  • inflammation: 炎症
  • sedation:
  • flash: 洗浄
  • saline: 生理食塩水

発音がトリッキーな単語を以下に載せたのでご活用ください。

まとめ

  • 尿管閉塞は時に致死的な病態にまで進行する
  • 治療方法は基本的に外科手術
  • 手術のオプションは様々でそれぞれ一長一短だが、それぞれの患者さんにあった手術が推奨される

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みけ
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