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イラストで学ぶ生理学と病気

【アメリカでペットと暮らす方へ】犬の尿管閉塞を図でわかりやすく解説①

尿管閉塞

この記事の内容

  • 犬の尿管閉塞とは
  • 初期安定化
  • 犬の尿管閉塞の治療オプション
  • 役立つ英単語
  • まとめ

著者は、日本の獣医大学を卒業後、一般病院で3年間勤務した後、現在アメリカの大学で獣医研修医をしています。

この記事では、様々な犬の尿管閉塞についてご紹介します。尿路に何が起こっているか、どんな治療オプションにがあるかを図を用いてわかりやすく解説していきます。アメリカでご自身のペットにそのようなことが起こった時に、活用していただけたら幸いです。

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尿管閉塞とは

尿管とは何かをまず解説します。尿管とは、腎臓と膀胱を繋ぐ細い管です。腎臓でつくられた尿を膀胱に送り届ける働きがあります。

雄犬の尿路解剖(日本語)
雄犬の尿路解剖(英語)

尿管閉塞とは、何らかの原因(結石、プラグ、腫瘍)によって尿管が詰まって尿が流れなくなってしまうことです。プラグとは、炎症細胞だったり、結石になる前の結晶が集積してできた粟粒状のカスでできた栓を指します。

尿管閉塞の原因

尿管閉塞は片側の場合と両側の場合があります。片側の尿管閉塞では反対側の腎臓と尿管が機能している限り尿は出続け、臨床症状が現れることはありません。

片側尿管閉塞で起こること

両側の尿管閉塞が生じると、腎臓で作られた尿の行き場がどこにもなくなるので、尿が出なくなり、体に毒素がたまり臨床症状が出ます。

両側尿管閉塞で起こること

尿道閉塞と異なり、尿を出そうと力んだり、トイレで痛がったりすることはありません。尿管閉塞で現れる臨床症状は、お腹の痛み、食欲不振、嘔吐、体重減少、元気消失などです。尿管結石は非常に痛いので、お腹を触られたりすることを嫌がります。そして体内から出されなければいけない毒素が体に蓄積されるので、気持ちが悪くなったりしんどくなります。

最終的に、閉塞が解除されないと、不整脈が出て死に至ることもあります。両側が完全に閉塞していた場合、緊急的な処置が必要になります。

ここからは、このような状態に陥ったとき、動物病院ではどんな処置が施されるかをご説明していきます。

初期安定化

  • 不整脈の治療
  • K (カリウム=potassium)を下げる治療
  • 腎瘻チューブの設置

この病気は、完全に両側の尿管が詰まっている場合には外科治療が必要です。原因が何であれ尿管の閉塞を解くことが治療のゴールとなります。しかし病態が進行しすぎていると、不整脈でなくなってしまう可能性があります。なので、まずは手術まで進めるように安定化をする必要があります。

不整脈の原因となる物質はバナナなどに多く含まれる、K(カリウム=pottasium)という電解質になります。カリウムは、血液中に多すぎても少なすぎても致命的になる物質です。本来は尿として排泄されなければならないところ、尿管が閉塞してしまうことで、体内に蓄積してしまいます。

カリウムが高くなりすぎると、不整脈が出ます。細かくいうと、徐脈(心拍数が遅くなる)になり、血圧が低下して循環が保たれなくなります。よって、不整脈とカリウムをコントロールする内科治療が一番に必要になります。

腎瘻チューブの設置
腎瘻チューブの設置

安定化が行われた後は、手術をいち早く行うことが重要です。しかし、手術が必ずしもいますぐにできる状態ではない場合もあります。例えば、かかりつけの病院では手術できる人がいないので大学病院に転院する必要がある、などです。内科治療を行ったとしても原因は除去されていないので、すぐにまた危険な状態に陥ってしまいます。

そこで、一時的に尿を腎臓から直接排泄させるための管、腎瘻チューブの設置、という手段があります。この方法では、皮膚と通して腎臓に針を進め、腎臓の尿が溜まっている部位から直接尿を抜くことができます。

腎臓に穴を開けているので、侵襲性は高く、感染や出血の合併症が生じることがあります。この処置は、手術がすぐに行える場合には必要ありません。救済処置で、手術までの時間稼ぎとして用いられる場合があります。

手術オプション

手術のオプションは、尿管閉塞の原因や患者さんの様態、獣医さんの方針、病院にある機材やデバイスの有無によって大きく異なります。

例えば、完全に両側が閉塞していない場合、内科的な治療の適応になることもあります。運がいい場合は、点滴によって排尿を促すことで、部分的に閉塞した結石などが膀胱に落ちるのを待つことができる場合もあります。

ここでは、両側の尿管が完全に閉塞した場合、一般的に大学病院で挙げられる、手術オプションをご紹介します。患者さん全てに当てはまるわけではないので、担当の獣医さんとよくご相談の上、治療方針を決定するようにしてください。

尿管閉塞の治療オプションは大きく以下の3つになります。

尿管閉塞の治療プラン

結石をとる=尿管切開という手術方式を用います。お腹を開け、尿管を切って、結石を取り出し、縫合によって全て下に戻していきます。

尿管ステントとは、石を取った後の尿管に管を通して、再発を予防する措置になります。

SUBシステム設置とは、腎臓から膀胱にかけて、人工的な尿管を設置して尿の迂回路を作る手技になります。

長くなってきたので、これらの手術に関しては【アメリカでペットと暮らす方へ】犬の尿管閉塞を図でわかりやすく解説②で詳しくご紹介していきます。

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