この記事では、VIRMPの公式サイトの、一例としてECCのレジデントプログラムについて解説していきます。
まずはプログラム検索によって、興味のあるプログラム(インターンやレジデントのポジション)をピックアップして、開きます。
すると、以下のようなページに飛びます。
プログラムの概要
大きく施設名が書かれており、概要がその下、さらに下にはプログラムの期間と申し込みの期限が書かれています。
プログラムの期間は、大学や病院のオリエンテーションの開始から、レジデントのプログラムの終了日が記載されます。基本的には、この日までに毎日出勤できる準備ができていないといけません。
申し込みの期限は、マッチングの期限と一致しています。マッチングの最初の締め切りは2024年は1月8日で、ここまでにパッケージ(獣医大学の卒業証明書、成績証明書、パーソナルステートメント、推薦状など)提出書類をそろえ、出願したい大学に申し込みます。
この締め切り後には、申し込みを受け取った大学が候補者を絞り込んで、インタビューのオファーをします。
次の締め切りは、2月17日で、候補者が次に行わなければいけないことは、インタビュー後に行きたい大学をランキング付けすることです。もしもこの時点でマッチへの挑戦を諦めるという場合は、withdrawといってどこの大学にも最終申し込みをしないという選択肢があります。
右サイドには、募集しているポジション数、年収、プログラムのサイトやVideo tourなどの大学紹介の動画のサイトが載っています。
下へスクロールしていくと
- Employment information
- Program & work schedule
- Educational experience
- Facility & location
- Interview
- Apply
というセクションに分かれています。
この記事では、Employment informationについて解説します。
Employment information
ここには、どのような人がこのプログラムに申し込めるかという条件が記載されています。
- 州のライセンスが必要か
- 外国人でも大丈夫か
- ビザのスポンサーがあるか
といった、アメリカにとって外国人である私たちには非常に重要な情報が載っています。
プログラムを検索する際に、右下のチェックボックスにチェックすることで、ビザのスポンサーがあるプログラムを絞り込むことができます。
Is the resident required to live a specific distance from the hospital?
この質問は、実際にプログラムが始まったときに、住むエリアの規定があるかどうかです。特にインターンやレジデントは夜中に呼び出されたりすることもあるため、家が大学から遠いと患者さんの急変に対応することができません。
よって、ここでは大学から15分で通える位置に住むようにという指定があります。
Previous Experience Required
過去の経験が必須かどうかの質問です。
インターンやローテーティングインターンは、獣医大学を卒業したてでもしっかりと学べるようなプログラムになっていることが多いです。なので、過去の経験の有無は必須項目にならないことが多いです。
一方、レジデントのポジションでは、インターンや獣医学生に教える立場になったり、症例を責任を持って自ら回さなければいけないため、ある程度の経験が必要になることが多いのです。
よって、新卒OKか1年以上の経験が必要、などが記載されます。
Previous Experience Details
ECC specialty internship is NOT a requirement for residency consideration. Rotating internships are strongly encouraged to have focus in small animal medicine, surgery, and emergency work.
過去の経験の詳細です。ここでは、ECCインターン(スペシャリティインターン)をしている必要はないが、ローテーティングインターンの経験を経て申し込むことが強く推奨される、と記載されています。
「必須」とは書かれていないので、この場合ローテーティングインターンをしていない場合は申し込む意味が全くないか、と言われるとおそらく、そうではありません。他に何か大きな強みがあり、有力な候補者であった場合、マッチする可能性もあります。
もしも他の項目で全く同じようなレベルで、ローテーティングインターンを経験した者としていない者が候補に上がった場合、ローテーティングインターンを経験した者が選ばれることになるはずです。
逆に「必須」(required)と書かれている場合は、もしもその経験なしに申し込んでしまった場合、おそらくCVやパーソナルステートメントなどに目を通されることなく、脱落させられてしまう可能性が高いです。
私の勝手な印象ですが、アメリカは例外が多い国だと感じています。例えば「ローテーティング必須」と書かれていても、日本で数年間獣医師として働いた経験があって、それなりに自信があるのであれば、私であればメールで問い合わせてみます。
「自分はアメリカでローテーティングをしたことがないが、3年間日本の動物病院で勤務しています。臨床経験は十分ある自信はあるがそのような例はこのポジションでは考慮されないのでしょうか?」といった具合で担当者にメールを送ります。
昔であれば、アメリカ人にメールをするなんてなんてハードルが高い、と思っていました。今では、アメリカで問い合わせて得した、という経験を何度もしたため、OKだったらラッキーくらいの気持ちで気軽になんでも問い合わせるようにしています。
Do you accept graduates of non-AVMA Accredited/Recognized Colleges/Schools?
これは、米国の獣医国家資格の水準に見合った教育レベルの大学を卒業しているかという質問です。AVMAに認定された大学は2024年現在、日本にはありません。よって、日本の獣医大学を卒業したのであれば、ここがYesであることが必須になります。
おわりに
この記事では、マッチングプログラムに応募する際の条件の見方(Employment information)について解説しました。
ここを見誤って、外国人が働けないはずの病院に申し込んでしまうと、おそらくマッチはしません。マッチしないだけならまだいいですが、もしマッチしてしまい、その後に働く資格がなかったということが発覚した場合、その1年が白紙になってしまいます。
自分がこの大学で働く資格があるかどうかを確認した上で申し込みに臨みましょう。