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SpO2, PaO2, CO2, 胸水に関して

【犬猫の胸水の病態】をイラストを用いて解説!

今回は、【胸水の病態】についての投稿です。

胸水を検出したら、なぜ胸水が出ているか考えるために、胸水の性状検査が必要になります。胸水の病態を理解することで、胸水の特徴から原因を推察することができ、診断に繋がります。

胸水は、胸腔内に漏れ出る水のことですが、胸水が生じるためには胸腔内の血管内外で生じる3つの要素を理解する必要があります。

この概念は、胸水のみならず、肺水腫や間質浮腫の病態理解にも役立つもので、「スターリンの法則」と呼ばれるものです。

3つの要素とは、静水圧、血管透過性、膠質浸透圧

  • 静水圧:血管内の血液が血管壁を押す圧力(血管内の圧力と血管外の圧力の差)
  • 血管透過性:血管の隙間から液体が漏れやすいかどうか
  • 膠質浸透圧:アルブミンは血管内でスポンジのよう機能し、血管内に水を保持する役割があります。この血管内に水を保持する圧を膠質浸透圧と呼びます。

この3つの圧力のバランスの乱れによって胸水が産生されます(血管から漏れ出ることになります)。

例えば、全身臓器から返ってきた血液は右心に返っていきますが、右心不全がある場合にはうっ血によって血液の流れが滞ります。この血液のうっ滞は静水圧の上昇です。血管内の圧が上昇し、血液中の血漿成分が腹水や胸水として漏れ出ることになります。

胸腔内に異物があった場合(異物の吸引など)、胸腔内の炎症によって、血管の透過性が亢進します。血管透過性の亢進するとは、血管拡張し血管を構成する細胞間の隙間から血液成分が血管外に漏れやすくなる病態です。

最後に、低アルブミン血症の場合(アルブミン<1.5 g/dl)、血管内の膠質浸透圧が低下することによって血管内に水分を保持できなくなります。そして血管外へ血漿成分が漏れ出ることになり、胸水や腹水、間質浮腫となります。

これらの病態を理解することで、胸水の性状分析をする意義がわかりやすくなります。

胸水の性状は、漏出液、変性漏出液、滲出液に分類できる

原因との紐付けは以下の通りです。

  • 漏出液:低アルブミン血症(膠質浸透圧の低下)によって生じる
  • 変性漏出液:静水圧の上昇によって生じる(血液のうっ滞など)
  • 滲出液:血管透過性亢進によって生じる(胸腔内の炎症など)

これらを分類するには、TP(総蛋白)と細胞数が必要です。

\この記事のハイライト/

☆胸水の性状(漏出液、変性漏出液、滲出液)

  • 漏出液:タンパク<2.5, 細胞数<5,000
  • 変性漏出液:タンパク>2.5, 細胞数<5,000
  • 滲出液:タンパク>2.5, 細胞数>5,000

☆どのくらいの胸水量で呼吸症状が出るか

  • 犬>30-50 ml/kg
  • 猫>20 ml/kg

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☆胸腔内疾患

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