この記事の内容
- 脳神経検査とは(前編)
- 1-12対の脳神経(中編)
- 1-12対の脳神経の評価 /Ⅰ~Ⅶ(後編①)
- 1-12対の脳神経の評価 /Ⅷ~Ⅻ(後編②)
著者は、日本の獣医大学を卒業後、一般病院で3年間勤務した後、現在アメリカの大学で獣医研修医をしています。
この記事では、1-12対の脳神経をどの様に評価していくかをおさらいしていきます。1から順番に確認していきましょう。
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嗅神経(Ⅰ)
- 嗅覚試験
- エサのにおいに反応するかをみる
- 正常:クンクンする
- 異常:嗅神経(Ⅰ)の異常が疑われる
視神経(Ⅱ)
- メナス(威嚇瞬き)
- 正常:威嚇に対して目を閉じる
- 異常:視神経(Ⅱ) and/or 顔面神経(Ⅶ) の異常
- ポイント:片目は伏せて見えない様にする。風圧やヒゲの知覚による偽陽性を防ぐ
- 対光反射(PLR)
- 正常:光によって縮瞳が起こる
- 異常:視神経(Ⅱ) and/or 動眼神経(Ⅲ)の異常
- ポイント:反対側の目からの光に反応しない様に手で覆う。部屋を薄暗くして強めの光をなるべく近く当てる。
- 綿球落下試験
- 正常:落ちていく綿球を目で追う、反応する
- 異常:視神経(Ⅱ)
動眼神経(Ⅲ)
- 斜視
- 異常:眼球を内側に引っ張る筋を支配する動眼神経(Ⅲ)と滑車神経(Ⅳ)の異常では外斜視
- 異常:眼球を外側に引っ張る筋を支配する外転神経(Ⅵ)の異常では腹斜視が生じる
- 対光反射(PLR)
- 生理学的眼振
- 正常:首を左右に動かした時に眼振が生じる
- 異常:平衡感覚(聴覚神経Ⅷ)の異常によって、頭の回転を検知できない and/or 眼球を動かす筋肉を支配する神経(動眼神経Ⅲ/滑車神経Ⅳ/外転神経Ⅵ)の異常によって眼球が正常に動かない
滑車神経(Ⅳ)
- 斜視
- 生理学的眼振
三叉神経(Ⅴ)
三叉神経を調べる方法はたくさんあります。
- 知覚神経
- 角膜反射
- 咀嚼筋の萎縮
- 顎のトーン
- 知覚反射
- 正常:綿棒などによる顔面の刺激に対して反応するか
- 異常:刺激に対する知覚(三叉神経Ⅴ)and/or 刺激に対する運動(顔面神経Ⅶ)の異常によって、刺激に反応しない
- 角膜反射
- 正常:濡らした綿棒で角膜に優しく触れると、眼球が後ろに牽引され目を閉じる
- 異常:角膜の知覚(三叉神経Ⅴ)、眼球を後方に牽引する外転神経(Ⅵ)、眼瞼の動きをコントロールする顔面神経(Ⅶ)のいずれかの異常で正常な反射が見られない
- 咀嚼筋の萎縮
- 顎のトーン
- 正常:口を開けようとすると普通嫌がり、閉める方向の力が加わる。
- 異常:三叉神経の異常で、顎のトーンが弱まるため、口を力強く閉められなくなる。また、残りのⅨ, Ⅹ, Ⅻに異常がある場合はゴクッという飲み込みができなくなる。
外転神経(Ⅵ)
- 角膜反射
- 斜視
顔面神経(Ⅶ)
- メナス(威嚇瞬き)
- 眼瞼反射(三叉神経で知覚して顔面神経による運動が見られる)
- 角膜反射
- 外耳道刺激
- 味覚試験
聴覚神経(Ⅷ)から先は、【今更でもいいからとにかく学ぶ】脳神経、1から12対まで言えるかな?<後編②>に続きます。
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