皆さんこんにちは。
前回のブログでは、2024年は動物看護師さんのコミュニティを作ることに決めました!と先日意気込みを発表させていただきました。
今日は、みけ勉強会を立ち上げるまでの経緯と、みけ勉強会をどういったものにしていくかを書き綴っていこうかと思います。
共感してくださった動物看護師さんには、是非みけのコミュニティに参加していただきたいです!!
みけ勉強会を立ち上げるまでの経緯
動物看護師さんのための勉強会を立ち上げようと思った理由は、以前のブログにも書きましたが、救急や集中治療など、動物の命を扱う場面で獣医師と動物看護師のチームワークは必要不可欠なものであり、看護師さんの力量が動物の救命に大きく影響すると感じているからです。
みけの活動は動物看護師さんの学びを応援するものにしたいと思いました。
命を扱うストレスフルな環境で、辛い、怖い思いで働くのは、看護師さんの心にも、病院全体としてもいい効果はありません。どうせなら、獣医師、看護師で力を合わせて、チームワークを発揮して全力で動物の救命にあたり、うまく行った時にはともに喜び、うまくいかなかった時にはみんなで反省し次に繋げることができる、ポジティブな環境を作るべきだと思うのです。
自分の経験上から何がストレスなのか、何が怖いのかと考えた時、私は「知らないこと」が原因だと感じたのです。どう安定かしてあげたらいいかわからない、怖い。どう助けていいかわからない、辛い。
その不安や恐怖は、知識をしっかりと身につけることで緩和、改善されていきました。そして、みけの強みを活用して、同じ経験をしている方に知識を身につけるためのお手伝いができるのではないかと考えたのです。
みけの活動の最初のステップは、動物看護師さんの「知らない、怖い」をなくすための知識の基盤を作るお手伝いをすると決めました。
みけコミュニティでの勉強方法
どんな勉強方法を提供したら、効率的に臨床現場で直結する知識を身につけてもらえるのだろうか。
自分の経験を含めて考えてみました。
実の所、私は日本で3年間一般病院で勤務をしていましたが、急患患者さんが来るのが怖くて、勉強してもしても自信を持って患者さんに対応することができませんでした。教科書を徹底的に読んでも、セミナーで勉強しても、不安が払拭できたとは言い切れませんでした。
アメリカにきて2-3年目、ようやく自分のやっていることに自信が持てるようになり、下の世代に、自分の知識や経験を教えられる程に自信がついてきたな、と感じました。アメリカの2-3年で何が起きたのでしょうか。
もちろん、救急の現場で常に勤務していたので場数をこなし、慣れた、というものもあると思います。しかし、圧倒的に変わったのは、病態生理を理解し、パターン認識ができるようになったという点でした。
病態生理
病態生理を理解することで、生理学的に起こりうること、気をつけなければいけないこと、などがイメージしやすくなるのです。
例えば、頻回な嘔吐が起こっている患者さんで最悪な結果とはなんでしょうか?
嘔吐から脱水し、重度の脱水によって循環血液量が減少。循環血液量減少性ショックに陥ってなくなる危険性がある。この患者さんの安定化方法は留置をとって輸液ボーラスを行うことだ。
というように、最悪のシナリオを頭の中で構築し、死を防ぐためにどうしたらいいかを考えることが重要になります。
例えば内科学では、病気の特徴、診断方法、治療法を学びます。しかし、この病気によって患者さんがどう亡くなっていくかまでは教えてくれないのです。
みけ勉強会では、「死のメカニズム」を重点的に勉強します。この病気で急変しているのであれば、患者さんはどう死に近づいているのか、を理解することで「では死に近づく前にどう予防、治療してあげるべきか?」が見えてくるのです。
パターン認識
- パターン認識とは、このシグナルメント、主訴、身体検査所見ならXXXだろう
- この病気の場合はAとBとCに気をつけてモニターしなければならない
など、状況をパターン化して、可能性の高いものの順番を決めるというものです。
100%断定することはできませんが、この力はとても重要です。
例えば、若い雄猫がお腹が痛そう。今朝から隠れて出てこない。トイレに行ったり来たりしている。というパターンを見たら、真っ先に尿道閉塞なのか?を疑う事になります。そして、尿道閉塞であれば、血液中のカリウムを尿から排泄できず、高カリウム血症によって徐脈、血圧低下の危険性がある。
というようにこのパターンならこれだろう、という予測をつけることができるようになります。
これは、状況に合わせた患者さんの評価方法を「知っているかどうか」なのです。暗記といったら語弊があるかもしれませんが、このパターンではこれに注意する、ということを知っているか、覚えているかが全てなのだと気がついたのです。
みけ勉強会の方針
このことから、みけコミュニティでは、徹底的に病態生理とパターン認識をトレーニングするべきだと感じたのです。
そこで、みけ勉強会では2種類の勉強法を行なってもらいます。
一つは、基礎講座。「なぜこうなるのか」という病態生理学をしっかりと理解をしてもらうための、みけによる講義です。
二つ目は、症例検討会。基礎講座で学んだ病態生理の知識を、実際の患者さんに当てはめるパターン認識のトレーニングをしてもらいます。
細かい内容については追々、ブログ、インスタにて発表させていただきます。
こんな看護師さんにおすすめ
ご覧の通り、みけ勉強会は、本気の動物看護師さんに集まってほしいコミュニティです。
病態生理を基礎から理解して、臨床現場に応用させることは、数時間の勉強で成し遂げられることではありません。私も何年もかかって習得したものになります。1年間、きっちり勉強して生涯使える知識を身につけたいという看護師さんに向けた勉強会になります。
まだ、緊急対応や入院看護を経験したことのない看護師さんには少し難しく、イメージしにくい内容になるかもしれません。こんな看護師さんや動物看護学生の方のためには、2025年からよりベーシックな内容の勉強会を設立する予定です。
2024年も、みけの活動の応援をよろしくお願いいたします!