この記事の内容
著者は、日本の獣医大学を卒業後、一般病院で3年間勤務した後、現在アメリカの大学で獣医研修医をしています。マッチングを2回経験していて(1回目は自らwithdraw, 2回目はインターンシップにマッチング成功)、今年3回目のマッチングに応募します。
この記事では、面接の準備の際に役に立つような情報を書いていきます。
インタビュの準備をしよう
- 心構え編では、面接の質問に答えるための定型を作るためのアドバイス
- 下調べ編では、具体的にどんなことをリサーチするべきかのアドバイス
- 実際に聞かれた質問では、私が過去に聞かれた質問を紹介
それでは、心構え編を進めて行きます。
- 面接準備
- STARの法則
- 大学のリサーチ
- ブレインストーミング
- まとめ
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面接準備
日本で獣医の道に進み始めた頃から、公式の面接経験はゼロでした。準備は万全にしておきたいものの、なにを答えたらいいのかさっぱり分かりませんでした。
今年は3年目にして、YouTubeで面接について勉強したこと、話せる経験が増えたこと、さらにアメリカの文化に慣れてきたということもあり、面接の準備が苦ではなくなりました。スラスラと話せる経験談が思いつき、自分の経験を話すことで自分をいかに良く見せるかというアイディアが次々と生まれてくるようになりました。
今考えると、文化もシステムも異なる日本からインタビューを乗り切って、マッチするということは非常にハードルが高いことがわかります。
マッチングへのチャレンジ1年目に戻れるとしたら、どう準備していたかということを以下にまとめます。まずはYouTubeで学んだ(笑)、Starテクニックというものを紹介したいと思います。
STARの法則
シチュエーションや具体例を必ず入れるのがインタビューで答える鉄則になります。
例えば、
- Tell me when you make a mistake? and how did you handle with it?
- Tell me how you handle with stress?
という質問に対して、答えだけを考えると、かなり抽象的になります。
- Go to travel
- Play sports
さらに、このように一言で終わってしまいます。
そこでSTARメソッドを使うとインタビュアーに具体的な情景をイメージさせ、その上であなたがどのような行動ができて、組織でどんな役に立てるかをアピールすることができます。
- S : situation
- T : task
- A : action
- R : result
私の場合は、”task”を”problem”に置き換えるようにしています。
意味は分かりませんが、”SPAR”になります。
具体的な回答例としては、
- S : situation
オーバーナイトのシフトで、馬のIVIG輸血を受けている患者さんがいた。
翌日、担当の獣医さんが患者さんの可視粘膜が白くなっていることに気がついた。
そして、そのIVIGが間違って発注された馬の血漿だということが発覚。
その患者さんは、重度の溶血性輸血反応を示した。 - P : problem
輸血モニターシートを見たら、私が引き継いだときには尿のいろがすでに黄色に変色。
ERで忙しくしていたため、異常に気が付くことができなかった。
もしも早く気がついていたら重度の副反応を防げていたかもしれない。 - A : action
溶血性貧血について学び、プレゼンテーションを作成。
この失敗がどうして起こってしまったかを分析し、M&Mにて発表。 - R : result
プレゼンテーションによって、輸血副反応についての知識を周知することができた。
異種間輸血(馬の血液製剤を犬に輸血)をする際のガイドラインを作成することを提案。
引き継ぎの時点で、患者さんのベースラインを新旧ICUドクターで共に確認。
輸血をモニターする際の環境について、改善するべき点をディスカッションすることができた。
このような内容にすることで、自分のミスを暴露して弱みを見せるのではなく、マイナスなことに対して取ったあなたの行動はなにか。そして、その行動がどのような結果をもたらしたのか。ということをインタビュアーにイメージさせるのです。
そうすると、インタビュアーは、この候補者がうちのチームに入ってくれたら、問題が起こっても文句を言うだけでなく、解決につながるチームのためになる行動をしてくれるだろうと捉えてくれます。
私はインタビューの経験やアメリカ文化に慣れていなかったこともあり、どうしても謙遜や、自分なんて、という悲観的な表現をしてしまいがちでした。しかし、こんなひどいことがあって、と不満をぶちまける方向に進んでしまうことは、面接での落とし穴になります。
ここで重要なのは、あなたがどんなミスをして、それを認め、どんな対応ができたか。その対応によってどんな結果(プラス)が生じたか。もしくは、あなたがどんなときにストレスを感じ、ストレスをどう対処するか。そしてストレスを対処したことでどんな結果が生じたか。です。
“SPAR” に沿って答えると、自然にこの結果までたどり着けるのでおすすめです。
大学のリサーチ
大学のリサーチに関しては、②下調べ編で詳しく解説します。
visitingができれば一番いいのですが、行けない場合でも、大学のリサーチをしておくことは非常に重要です。候補者がどれだけその大学に興味があるかということを伝えることができるからです。
ブレインストーミング
何を聞かれても準備ができているようにするのは難しいです。しかし、ある程度の話のネタを準備しておくことで、似たような質問で自分の話したい方向に持っていくことができるようになります。
私は、以下の頻出の質問に対していくつものパターンで答えられるようにブレインストーミングしました。
- 自己紹介で何をいうかを考えひたすら練習する
- 自分のゴールや目標を的確にして説明できるようにする
- 自分の強みを明確にして、自分を売り込めるようにする
- 自分の弱みを認識して、どう取り組んでいるかを伝える
- ストレスフルな環境にどう対応するか
- 失敗したときの一例とどう対処したか
- 興味のある分野を聞かれたときに答えられるようにする
- どんな分野の研究に興味があるかを考える
- 症例をプレゼンテーションできるように2-3分にまとめる
- 学生への教育に対するこだわり
症例のネタは本当に使えるので、いくつか準備しておくことをおすすめします。
まとめ
- 話のネタになることは全て事前に収集する
- ネガティブな発言をしない
- 今いる環境などの不平を言わない
- 全てポジティブな方向に持っていく
- 自分を過小評価しない
- 自分の強みは最大限に言葉にする
- 聞き手に情景を思いかばせるようにリアルに話す
- 抽象的な質問には具体例をつける(STAR methodを用いる)
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