はじめに
著者は、日本の獣医大学を卒業後、一般病院で3年間勤務した後、2022年現在アメリカの大学で獣医救急集中治療(ECC)専門医になるためのレジデントをしています。
この記事では、獣医救急集中治療(ECC)専門医になるためにはどの様なトレーニングが必要かご紹介します。3年間、具体的にどの様なことをしているか、興味のある方への記事になります。
ECCレジデントプログラムの内容
ECCのレジデントは3年間の研修医プログラムになります。3年間のうちに、ACVECC(American College of Veterinary Emergency and Critical Care)というアメリカのECC協会が決めた水準に満たすようなトレーニングを受けます。その水準を満たすことで、3年後の専門医試験で試験会場に着席できることになります。そして試験に合格すれば晴れて専門医の資格を獲得することができます。
ACVECCに登録されたレジデントは、ACVECCの公式サイトのログインアカウントを持つことになります。そのページに、3年間で必須となるトレーニングを記録していくことになります。
専門医試験を受けるために必要な要件
これが先ほどの3年間のレジデントトレーニングで、専門医試験を受けるための必須条件です。
このトレーニングでは、日々コツコツとやらなければいけないことが大きく4つあります。ローテーション、セミナーへの参加、講習の受講、教育から構成されます。
- 他の科へのローテーション
- セミナー
- 講習の受講
- 教育
他の科へのローテーション
ローテーションというのは、ECC、麻酔科、外科、内科、眼科、神経科、画像科で何週間、専門医の下で働かなければいけないという要件です。ECCは特に、様々な分野におよぶ知識が必要になるので、様々な科をローテーティングすることになります。
セミナー
セミナーとはジャーナルクラブ、ブックリーディング、レジデントが週に一度行うプレゼンテーション、血液ガストレーニングなど、専門医が開催するディスカッションの場です。1年間に100時間参加する必要があります。
講習の受講
講習の受講とは、IVECCSやACVIMなどのカンファレンスで、野外で行われている学会への参加、聴講です。
教育
最後に教育とは、プレゼンテーションに加え、学生にレクチャーやウェットラボをすることです。
この4つの他に、研究分野にも取り組む必要があります。要件は、試験を受ける前に、レジデント期間中に論文が1本Acceptされていることです。
その他の活動
大学病院の仕事
日々の診察(ERやCritical Care)で、飼い主さんと話したり、インターンや学生に教育をすることが含まれます。そして専門医であるファカルティと毎日ディスカッションをします。
症例から学ぶ
症例やプレゼンテーションのために、論文をあさったり教科書を読み知識を深める時間はレジデントをする中で非常に重要な時間です。日々の診察を振り返って、最新の知見をリサーチを日常的に行っています。
カウントダウン
3年間のレジデント生活を記録するためのブログのページを作りました。3年間なので、36ヶ月をカウントダウンし、1ヶ月ごとにどんなことがあったかをダイジェストします。
面白かった症例や、学んだことなどをシェアしていきたいと思っています。1ヶ月に1度更新する予定なので、ぜひご覧ください!
まとめ
この記事では、ECCのレジデントプログラムにどの様なレーニングが含まれているかをご紹介しました。ECCに興味のある方、レジデント生活に興味がある方、専門医を目指している方に役立つ情報を発信していけたらと思っています。