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イラストで学ぶ生理学と病気

凝固系発展編①(勉強会の構成)

はじめに

著者は、日本の獣医大学を卒業後、一般病院で3年間勤務した後、2023年現在アメリカの大学で獣医救急集中治療(ECC)専門医になるためのレジデントをしています。

この記事では、凝固系をがっつり学びたいという方に向けて、ECCレジデントがどのような勉強をしているかをご紹介します。

勉強会

大学のプログラムによって、didactic(教科書の読み合わせやジャーナルクラブなどの勉強会)の質やfacultyの力の入れ具合が大きく異なります。

didacticに力を入れている大学では、大量の宿題(論文や教科書を読んでくる)が出され、毎週の様にテストをして、レジデントの理解を問うために、みんなの前でホワイトボードを使って説明させる、ということが行われているそうです。

今月、ローカムの先生が3週間、一緒に働いてくれた際に、先生がどんなトレーニングを受けたか、試験勉強に向けてどんな勉強法をしてきたかを教えて頂きました。このローカムの先生が修了されたレジデントプログラムは、didacticに非常に力を入れていたようで、私たちにそれを再現する様に、凝固系ブートキャンプの様なエクササイズをして頂きました。

ECCの専門医試験の頻出の分野、凝固系は、なんといっても覚えることが山ほどあり、そして非常に複雑なのです。この記事では、このブートキャンプで行った内容の、cell based model coagulationについてご紹介していきます。ちなみにこのモデルを理解することは、専門医試験をパスするのに非常重要なのです。

Cell based model of coagulationとは

まずはcell based model of coagulationとはなんぞや、ということです。これは、古典的な内因系、外因系にくっきりと区別された二次止血の原理だけでは説明がつかない凝固系の反応をより、詳細に説明をつけたモデルになります。

内因系、外因系の概念が根本から覆されたわけではなく、あくまで内因系、外因系が独立して起こっているものではなく、血小板の細胞膜の反応も併せて、関与し合って凝固が成立するということを表しています。

なんのこっちゃわからないかもしれないので、軽い例をあげるとするならば、外因系で組織因子と凝固第七因子から始まり、FXを活性化するということが古典的な外因系の説明です。一方、cell based modelの場合は、始まりは同様ですが、ここから少量のトロンビンが活性化され、トロンビンが血小板、FV、FVIII、そしてFIXを介してFXIを活性化することで、内因系のカスケードが回り始めることになり、そして血小板の活性によってそのスピードが1,000倍にも増すということが明らかになっています。

この複雑な絡み合いを、説明したものがcell based model of coagulationということです。

参考

まずこの概念を理解するのに、かなりの時間を要しました。そして、以前働いていた大学の課題で、このレビューを読んだことがありました。2009年のレビューが、今でも重要参考文献として使用されています。

インターンの頃、まず文字で全てを理解するのは不可能でした。Youtubeをあさっても、cell based modelについて詳しく説明したものがうまく見つかりませんでした。そこで、理解をあやふやにしたまま放置していましたが、レジデントになった今、もう放置はできない状況になってしまったのです。

今回の見方は、こちらのコーネル大学が出している、Video on Demandの授業になります。これは、クリティカリストがボランティアで様々な分野をプレゼンテーションしてくれるというものです。

Cell based modelに関した、Dr. Thomovskyの動画が非常に役に立ったため、参考にしてみてください。

Cell based modelに関した、Dr. Thomovskyの動画

https://vod.video.cornell.edu/media/CoagulationA+ACVECC+Exam+Webinar+July+10%2C+2019/0_cgdrjrqj/122121141

ブートキャンプ内容

primary hemostasis, secondary hemostasis, fibrinolysis, coagulation monitoringという分野をカバーしました。

2週間前に、課題である論文や教科書のチャプターが割り当てられ、与えられた分野を解説することが宿題となりました。自分のパートだけならまだしも、全ての分野を網羅しようと思うと、非常に量が多く、かなりしんどかったです。

凝固系の勉強にあたって参考にした文献

1日2時間程度使い、初日にprimary hemostasisとsecondary hemostasisをカバー、二日目に、cell based modelの復習と、coagulation testing。そして3日目にテスト+解説を行いました。

これを毎週やっていたらえらいことになるな、、、と恐れ慄きました。

おわりに

ECCレジデントがどの様な知識を試験のために叩き込まなければいけないか、ということが、ざっくりわかっていただけたでしょうか。日常の診察でここまで細かい知識は滅多に使わないかもしれません。しかし、専門医になるためには、この様な基礎や生理学、薬理学の知識をしっかり固める必要があるのです。

一度や二度よむだけでは絶対に理解できなかったのですが、何度も読み、YouTubeや動画をあさり、そして自分でみんなの前でアウトプットして、facultyに間違っているところを指摘してもらって、最後にクイズをする、という工程によって、ようやくわかってきた様に思います。

こちらの記事で、実際にこのブートキャンプで学んだことを解説しているので、併せてご覧ください。

凝固系発展編②(Cell based modelを読み解く) はじめに 著者は、日本の獣医大学を卒業後、一般病院で3年間勤務した後、2023年現在アメリカの大学で獣医救急集中治療(ECC)専...
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みけ
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