今回は、呼吸困難の11分類の1つ、【血管/血液疾患】についての投稿です。
肺で出血が起こり、その血液が肺胞に入り込むことで肺が虚脱し、低酸素状態を引き起こします。出血した血液は肺胞内で血栓を作ります。それによって肺はさらに硬く、膨らみにくくなります。
さらには、出血自体からくる貧血などの血行動態の変化により、循環血液量減少性ショックを伴う場合もあります。
この記事では、肺出血が起こる原因、肺挫傷の病態と安定化の方法についてまとめました。
\この記事のハイライト/
☆呼吸困難をもたらす、血管/血液疾患の原因について
- 凝固障害:血小板減少症や肝不全などによる血液の病気が原因で出血が止まらなくなる
- 外傷:大きな血管の破損によって、肺の換気が障害される
- 感染:レプトスピラ感染症による肺出血
- 肺高血圧:肺内の血圧が上昇することで生じる血管破裂
- 腫瘍:血管や肺組織の破綻
☆凝固異常について
- 一次止血異常:血小板の減少(機能不全)によって小さな出血が止めにくくなる
- 二次止血異常:凝固因子の欠如によって大きな出血が止めにくくなる
- 線溶系の亢進:作られた血栓が急速に破壊される
☆凝固異常の診断
凝固異常にも様々な原因があります。まずは3つのどれに当てはまるか、以下の検査によって絞り込んでいきましょう。
- 血小板減少:CBCやマニュアルによる血小板数の確認
- 凝固因子の減少:凝固時間(PT, APTT)の検査
- TEG(凝固に関するプロファイル)
☆肺挫傷が疑われた場合の安定方法
最初の処置
- 酸素投与
- 外傷であれば鎮痛剤
気胸をルールアウト
- 聴診やTFAST+/-レントゲンによって気胸を診断
- 緊張性気胸が疑わしければ緊急的に試験的胸腔穿刺が必要
ショックの治療
- 循環血液量減少性ショックの場合→輸液ボーラス
- 貧血性ショックの場合→貧血の治療(輸血)
- 低酸素性ショック→酸素供給(必要に応じて人工換気が必要になることも)
☆まとめ
- 血液の異常や血管の破綻によって呼吸困難が生じる可能性もあります。鑑別診断をしっかりとあげることで、重要な病態を見逃さずにすみます。
- 肺出血の原因は様々ですが、簡単な検査で、ある程度の病態を絞ることができます。
- 安定化には酸素供給、胸腔穿刺、輸液、輸血などを状況に応じて考慮しましょう。
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