本記事の内容
- 外に出なくてもノミの予防が必要な理由
- 駆虫法/予防法
- まとめ
私は、日本の獣医大学を卒業後、一般病院で3年間勤務した後、現在アメリカの大学で獣医研修医をしています。この記事では、なぜ犬と猫のノミダニ予防が必要か、どのような駆虫/予防法があるかをご紹介します。
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外に出なくてもノミの駆虫が必要な理由
- 部屋が綺麗でもノミはどこからでも入ってくる
- ノミが媒介する病気、瓜実条虫(tape worm)、ノミアレルギー
- ノミの吸血による病気
部屋が綺麗でもノミはどこからでも入ってくる
外に出ないからノミの心配なんかいらない、とよく言われます。
外に出なくても、ノミはジャンプして、同居犬の犬に、もしくは靴を介して簡単に家の中に入って来れます。
瓜実条虫
ノミが媒介する病気の一つとして、瓜実条虫(tape warm)があります。保護猫の便からよくみられます。成猫でも実は結構見ることがあります。
治療法ですが、一般的に使われているレボリューションやシンパリカはノミの媒介を抑えることはできるが、瓜実条虫の駆虫はできません。
アメリカではよく使われる、Panacur (fenbendazole)によって既に感染している瓜実条虫を駆虫します。ノミ駆虫薬によって更なる瓜実条虫の侵入を防ぎます。
ノミアレルギー
皮膚のアレルギーの最も多い原因がノミアレルギーです。食事でも、花粉でもなく、ノミが原因で痒くなり、炎症が引き起こされたりします。
ペットが痒くなると、食事制限したり、アレルギーテストをしたり、しますがまず最初のステップとしてはノミの可能性を除外するということになります。
ノミの吸血による病気 【事例】
ノミの吸血による病気、それは重度な貧血です。
元気がないと行って来院した1歳のわんちゃん。歯肉の色が真っ白で、重度な貧血がありました。
そのわんちゃんが乗ったあとの診察台には、大量のノミの糞が散っていました。オーナーさんは駆虫薬を投与したとは言っていましたが、どこの会社のものだったかはわからないとのことでした。
本来、他の病気を除外した上で治療を始めますが、オーナーさんの費用の関係上、経験的な治療を行うことになりました。
すぐにCapstarという即効性のあるノミ薬および、シンパリカという1ヶ月間効果のある駆虫薬をを投与後、輸血をすることになりました。
無事輸血を終えたその犬は、次の日にはご飯をガツガツ食べるようになって帰って行きました。
ちなみにですが、輸血+入院+処方、その他諸々で結局、10万円近くはかかったと思います。
駆虫法/予防法
- Capstar
- レボリューション vs シンパリカ
Capstar
最も即効性がノミの駆虫薬です。投与から30分でノミが死に始めます。
このスピードが大事なのは、ノミは寄生している間にも無数の動物の体表に卵を産みつけているからです。いち早く、成虫を駆除する必要があります。
24時間程度の効果なので、必ず長期的に予防できる薬にシフトして行きます。
レボリューション vs シンパリカ (犬)
レボリューションもシンパリカも、ノミ、ダニ、フィラリア症をカバーします。
猫にはレボリューションプラスがお勧めです。シンパリカは猫に投与できません。
犬ではシンパリカをお勧めします。即効性(4時間後から効果)、月一回の投薬、安い、マダニにも有効という理由です。
レボリューションプラスやブロードラインよりも安いです。レボリューションは3ヶ月に1回のブロードラインは忘れる可能性が高くなるのでお勧めしていません。
まとめ
- 室内外でもノミの予防は必要
- ノミによる直接の健康被害、二次的な病気の媒介はときに致命的になります
- 寄生が見られたら、即効性のあるCapstarを投与
- その後の予防に、猫はレボリューション、犬はシンパリカがお勧め
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